公開予定作品

1月16日(金)より「ドイツ零年」 1月23日(金)より「新ドイツ零年」公開予定

特集 ロッセリーニ×ゴダール[2つのゼロ年] ドイツ零年|新ドイツ零年

公開予定
1月16日(金)より「ドイツ零年」 1月23日(金)より「新ドイツ零年」 〜
監 督
ロベルト・ロッセリーニ (「ドイツ零年」)
ジャン=リュック・ゴダール (「新ドイツ零年」)
出 演
公式サイト
https://www.zaziefilms.com/zero/
備 考
映画の歴史の中から今観るべき作品を独自にセレクトして劇場公開する上映シリーズ「l’histoire du cinema」(映画の歴史)の「leçon 1」(レッスン1)。
今回は第二次世界大戦後の廃墟と化したベルリンを舞台に、ひとりの少年を通して戦争がもたらす残酷さを描いたイタリアの巨匠ロベルト・ロッセリーニの『ドイツ零年』(1948)と、ベルリンの壁崩壊の翌1990年、東ドイツに潜伏していた老スパイの帰還の旅を描いたジャン=リュック・ゴダールの『新ドイツ零年』(1991)を、特集 ロッセリーニ×ゴダール[2つのゼロ年]として上映!


『ドイツ零年』
(1948/イタリア/モノクロ/74分)
ナチス・ドイツ崩壊後のベルリン。病弱で寝たきりの父、元ナチ党員で警察を恐れて家に引きこもる兄、家計を助けながら父の看病をする姉と、間借りした狭い部屋に暮らす少年エドモンドは、父と兄に代わってお金を稼ぐために、学校にも行かず、毎日廃墟のような街をさまよっている。ある日、エドモンドは小学校の担任教師だったエニングに街中で出会う。学校を追放され、今は闇商売に手を染めるエニングが説くナチス思想に、無垢なエドモンドは次第に感化され……。

1947年の夏にドイツの市街で撮影された本作は、『無防備都市』(45)、『戦火のかなた』(46)とともに《戦争三部作》と呼ばれ、ほぼオール・ロケ、素人俳優の起用といったネオレアリズモの手法を駆使し、戦争の悲惨さをロッセリーニ独特のドキュメンタリー・タッチで描いている。当時のベルリンの映像が、圧倒的な迫力で観る者に迫ってくる。

『新ドイツ零年』
(1991/フランス/カラー/62分)
前年にベルリンの壁が崩壊した1990年のドイツ。西ドイツ側のスパイとして東ベルリンに30年間潜伏していた諜報員レミー・コーションのもとへ、軍情報部のゼルテン伯爵がやってくる。「すべて終わった」と告げられたレミーは、彼に勧められるがまま、西側への帰還を目指して東ドイツを大きく迂回する旅に出る。トーマス・マンの小説の登場人物を思わせる娘シャルロッテや、ドン・キホーテとサンチョ・パンサなど、様々な人々と出会いながらレミーは西側にたどり着く……。

ナチス・ドイツが崩壊した1945年を、ドイツにとっての《ゼロ年》と示したロッセリーニに対し、東西ドイツが統合された1990年を《新ゼロ年》としてゴダールが作り上げたのが、現在公開中の遺作『シナリオ』にも引用されている『新ドイツ零年』だ。冷戦期に東ベルリンに潜伏していた老スパイの“西への帰還の旅”を、主にドイツに関連した哲学や文学、音楽、映画などを膨大に引用しながら描いている。

主人公のレミー・コーションを演じるのは、50年代に“FBI捜査官レミー・コーション”を演じたシリーズで一躍フランスのスターとなったエディ・コンスタンティーヌ。ゴダールのSF映画『アルファヴィル』(65)でも同名の探偵役で主演し、一躍カルト的存在となった。

(C)BRAINSTORM 1991. Licensed through ECM Records GmbH (C)Cinecittà Luce, CSC - Cineteca Nazionale, Cineteca di Bologna, Coproduction Office.