壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.105

◆念願だった『午前十時の映画祭』。来年4月から、まちポレいわきでの開催が決定いたしました。それこそ「構想○○年」で、何度か俎上には上がったのですが、具体化して動き出したのがおよそ1年前。そんなことが頭にあって、匂わせ的に書いた148号をご紹介します。

 

◆『まちポレ壁新聞』最新174号『あうん』(12/9発行)は、5階ロビーに掲示中です。

※151号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞  №148  2025年3月2日

音楽で「午前十時の映画祭」

駅前純情シネマ その42

「パピヨン」の50周年記念リバイバル上映が決まったとき、私の脳裏に浮かんできたのは、何故かアンディ・ウィリアムスの歌う主題歌でした。「何故か」と付けたのは言うまでもなく、作品の中で流れるのはジェリー・ゴールドスミスの手による流麗なメロディだけだからです。つまり、主題歌はカバーで「後付け」なのです。

 

あの頃(1973年製作、翌年公開)、このパターンは流行りでした。「ある愛の詩」「ゴッドファーザー」、ちょっと遡って「ティファニーで朝食を」の『ムーン・リバー』、「世界残酷物語」の『モア』など、全て原曲以上にアンディ・ウィリアムスの歌の方が有名なのです。当時、自分はまだ子供だったのでウラ事情は不明ですが、逆の言い方をすれば、子供でも知っているぐらい洋画の曲が音楽番組のチャートを賑わすほどポピュラーだったわけです。

といっても、今のように「映画を売る」ために主題歌とセットにするのではなく、映画がヒットして、その映画に見合う歌詞をつけて再度売り出すわけですから、全く逆パターンです。これは何もアンディ・ウィリアムスに限ったことではなく、私自身、「ある愛の詩」のナナ・ムスクーリ版レコードを持っていましたし。子供のころ、日曜日の午後床屋さんに行くと、ラジオの歌謡曲ランキング番組からは、よく映画主題歌が流れてきたものです。それだけヒットしてランクインしていた証左ですね。いい時代だったなあと年寄りじみたセリフが出てしまいます。

 

私自身、幼少期は「ゴジラ」シリーズなどで始まったけれど、映画にのめり込んだのは中学になって洋画を見るようになってからという原体験があるので、洋画もヒットしてほしいし、見てほしいと切に思います。もちろんこれは洋高邦低を望んでいるというわけではなく(私自身邦画の方を多く見ます)、単にバランスの問題です。

 

しかし、近頃は洋画も吹替版が人気で、更に驚いたのは、つい最近の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の3部作テレビ放映は<新吹替版>というのを売りにしていたことです。確かに声優さんの人気たるやすさまじく、アニメ作品の場合だと、声優さんの舞台挨拶中継は必ずと言っていいぐらいあり、また活況を呈します。日本の声優さんのレベルは格段に高く、ボストンに留学していた知人は向うで「ポケモン」の英語吹替版を見たらがっかりしたと言っていました。でもなあ。私自身、確かにテレビの吹替放映で洋画をたくさん見て恩恵を受けたけれど、それは「入り口」であって、終着駅ではなかったんだよ。

 

いつもの長いあとがき

今この原稿を自宅で、YouTubeの映画音楽を流しながら書いています。

先日、こんなことがありました。

お互いの休日がダブったので、久しぶりに妻とお出かけ。助手席に座った妻がセレクトしたBGMは、YouTubeからの映画音楽です。「ディスク5まであるよ。全部わかる?」→「古いのならね。全問正解したら、ご褒美頂戴」。そんなジャブ的会話からスタート。一曲目は妻も驚くような即答で正解し、「ダテに壁新聞書いてないから」と鼻高々。ところが、次の2曲目で早くも躓きました。妻からは「よくそれで支配人してられるね」などと罵詈雑言の嵐です(笑)。

5枚組の名曲集ですから、当然「戦場にかける橋」の「クワイ河マーチ」、「史上最大の作戦のマーチ」といった運動会の定番曲も流れます。すると妻は「♪猿、ゴリラ、チンパンジー」と思わず口にします(笑)。この替え歌は地域差・世代差なのか、聞いたことがあるという程度の私と違い、妻にとっては元歌よりもポピュラーなようです(笑)。デビッド・リーン作品の楽曲が流れるとその俯瞰の映像が甦り、ついついウンチクを語りだしてしまうのですが、鼻白まれない程度にセーブしました。

 

それにしても、クラシックともいえる作品を書きだすと筆の進みが早いのはなぜなんだろ? 次から次へとイメージが広がって、当初自分が思い描いていた構成から遠く離れていく…。

 

好きな映画音楽を聞かれれば、「ひまわり」と答えるファンは少なからずいると思います。この映画をまちポレで上映することになったくだりは以前記したけれど、それがきっかけで、配給の窓口となっている方とは、上映にまつわる事務連絡以上のこともメールしたり、時には電話したりもしています。

年賀メールの公開リストに「天国の日々」があったときには、「『バッドランズ』初公開といい、今年はテレンス・マリックの年ですね」と意気投合しました。「映画を愛する君へ」が決まったときには、チラシにある4作品の画像のうちタイトルの分からない映画が1本だけあって、それをわざわざ電話して聞いてしまったのですが、懇切丁寧に教えてくださいました。更に(上映が終了したから書いてしまいますが)、ポスターにタイトルミスがあるのを試写会で指摘され、慌ててチラシを修正したこともこっそり教えてくれました。二つを比べてみれば分かりますよ。

 

こういった往年の名画をいわきでも毎週見たいと思いませんか ?     (沼田)