◆果たして。読んでくれている方がいるのかさえ不明な、というより、読み手のことは考えずに、➀不定期に、➁その時に書きたいことだけを、➂友人たちに宛ててるつもりで書いているから続いている壁新聞。その馴れ初め(?)を綴りながら、前回30号の続きともいえる、2年前の52号をご紹介します。
◆『まちポレ壁新聞』最新116号は、5階ロビーに掲示中です。
※101号以降のバックナンバーもあります。
まちポレ壁新聞 №52 2021年8月23日
ルーツをたどる
Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.17)
回りに、個人ミニコミを作り発行していた友人が、ざっと数えて5人います。この数字は「5人も」と言っていいように思うのですが、いかがでしょうか。過去形の人もいれば、いまだに継続している人もいます。SNS時代の今ではなく、全て「紙」でのハナシです。それに触発されて私も若い時に一度始めたことがあったのですが、見事に『一号雑誌、三号新聞』を地で行く形となり、3回出してそのまま終わってしまいました(笑)。
ミニコミの内容は『五人五色』でさまざまです。映画を通しての友人が多いから、映画絡みのミニコミ紙が一番多いのは当然ですが、本、音楽、旅行記、コレクション、ポエムなど多種多様です。ひと言で言えば、趣味の世界ですね。
一番長く続けていた友人は「男はつらいよ」一筋に、月刊スタイルで十数年! 中断やタイトル、書式の変化などがあり、全部持っている私でさえ不明という長さでした。
彼は奥さんから、「郵送用の封筒に袋詰めしているときが一番嬉しそう」と言われていたそうです。
相手の顔を思い浮かべながら住所を書く(あるいは貼る)気持ち、分かります。コピー代よりも切手代が掛かるんですから。仮に30人に発送したら、切手代80円として2,400円ですよ! いかに<道楽>とはいえ(笑)、毎号となると大変です。それでも続けるのは書きたいことがあるからでしょうが、楽しみなのはそれを読んだ友人たちの反応です。この壁新聞もそうです。それも「引っかかる」ところがそれぞれ違うから面白く、またそれに触発されて次号のネタになるという「好循環」が生まれたりもします。
今と昔の違いは、「手間」ですよね。
前号の反応で印象的だったのは、「わけの分からない映画を場所を迷いながら観に行く情熱」というコメントでした。ぴあを片手に道に迷いながら、やっと映画館にたどり着いて、下手すりゃ疲れから場内では睡魔に襲われウトウト。極論すれば、観ることより「行く」ことに意義あり的な感覚です(笑)。
今だったら予約もできるし、スマホがあれば道に迷うこともないし、「過程」がまるで違いますよね。
そうまでして観た映画の記憶というものは残るものです。例えウトウトしてうろ覚えなところがあったとしても、その日の行動、入ったお店、食べた食事、利用した電車、その待ち時間の読んだ本のことなど。後年振り返ってみれば、決して無駄にはならないのです。
いつもの長いあとがき
大雨による災害、コロナの感染拡大など暗いニュースばかりが続く昨今、久しぶりに清々しいニュースを目にしました。
30号「夢の楽園」で野球にまつわる映画について書いた時、「去年、<現地での>ホワイトソックス対ヤンキースの試合が中止になったのが残念」と記したのですが、いい意味で不正確だったようで、中止ではなく一年延期になっただけでした。
8月12日に、<かの地>フィールド・オブ・ドリームス球場で、そのカードによるメジャーリーグ公式戦が開催されたのです!
まさにドリームマッチで、試合前の演出が『粋』でした。
まず、外野フェンスの向こう側で、人の背丈以上に育ち青々としたトウモロコシ畑からケビン・コスナー氏が登場。そのいで立ちが映画を彷彿とさせる白いシャツ姿で、もうそれだけでジーンときてしまいました。もちろんBGMはジェームズ・ホーナーのスコアです(球場に流れていたか、番組上の演出かは不明ですが、音の悪さから前者と思われます)。グランドの中央部に来て立ち止まり、フィールドやスタンド、スコアボード(木製!)を見渡すコスナー氏。手にはずっとボールが握られています。俳優ですから、全く演技が入っていないとは言い切れないかもしれません。しかし、氏にとっても、「フィールド・オブ・ドリームス」は絶対に忘れることのできない作品の一つのはずです。その場所に32年後に戻ってきたのですから、感慨はひとしおだったと思います。
そして今度はスコアボード下、開いたフェンス越しのトウモロコシ畑から両チームの選手たちが続々と登場します。しかも、往時のクラシカルなユニフォームをまとって。まさに映画そのままの光景です。迎えるコスナー氏とタッチ。
試合前には両チームの選手が一二塁間と二三塁間に整列し、マイクの前に立ったコスナー氏がスピーチし、こう述べました。「ここは天国か」。
そしてまた、試合が今年のベストゲームと言われるほどの熱戦でした。だいたい最初の得点が、トウモロコシ畑に飛び込むホームランですから! 更に、最終回にはヤンキースがホームランで逆転し、勝負ありかと思いきや、その裏ホワイトソックスにサヨナラホームランが飛び出し、9対8の幕切れという映画以上に劇的なエンディングでした。どんなライターが書いたって、こんなシナリオ書けやしません!
ニュースによれば、レイ・リオッタ氏もビデオのナレーターを努めたそうです。また、試合前に選手たちはスマホ片手に記念撮影してましたね。そりゃそうですよ、ここに来たら誰だって一人の「野球少年」に戻りますよ。既に来年の開催も発表されたようで、どういうカードになるのかワクワク。ただ、見た範囲では始球式の様子を写したものがなく、それだけが気になっています。
(沼田)