壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.35

◆この3連休は遠征して、「RRR」の応援上映に<参加>してきました。鑑賞ではなく、参加が適切な表現です。それについてはいずれご報告するとして、今回はその応援上映の<ハシリ>と言われる作品に触れた2年前の47号をご紹介します。冒頭にある『紙ヒコーキ新聞』については、『電子版15号』の前説で触れたので略します。

◆『まちポレ壁新聞』最新120号『観客という立場と仕事のはざまで』は、5階ロビーに掲示中です。
 ※101号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞 №47  2021年7月18日

行き先不明

Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.12)

 実は、壁新聞は二種類存在します。
 一つは、壁新聞そのままの通常版。そしてもう一つが、電子版『紙ヒコーキ新聞』用の書下ろしで、非掲示。よって、ブログに載らないと陽の目を見ません。
 自分としては「書いたら終わり」なので、載る載らないは気にしません。基本的に内容も違いはありません。当たり前です。書いてるのが私なんだから(笑)。<ほぼ、いつでも昔の話>なのも同じ(笑)。唯一の違いは、長さ。壁新聞がA4サイズ2枚ピッタリに収めるので約2,000字になるのに対し、そうならない(大体、短い)のが『紙ヒコーキ新聞』用書下ろしということになります。こちらの方が枠がない分、自由ではあります。

 毎回、冒頭のフレーズが浮かぶとパソコンを開くというスタイルなので、着地点が決まっていません。いうなれば、旅行会社のミステリーツアーみたいなものですか? いや、あれは企画側では分かっているのだから、ちょっと違うか。

 それ故に<引き込み線>を間違って、思いもよらぬ終着駅にたどり着いてしまうことも、ままあります。
 前回では、「まぼろしの市街戦」のエンディングには2種類あるという、キーワードに触れずじまいになってしまいました。ただ、ここでそのラストシーンだけを取りあげて紹介するわけにもいかないので、余計もどかしい。
 <完成>した(はずの)作品を変えるというのは、作家主義(監督主導)なのか商業主義(興行優先)なのか不明ですが、個人的には手を加えてほしくありませんね。

 検索したら他に、「レオン」「ターミネーター2」「アイ・アム・レジェンド」などがよく紹介されていましたが、いずれも<通常版>しか見ていないので、これは<企画倒れ>ということに(笑)。

 そういうわけで今回は、脱線したまま触れずじまいの落穂拾いです。

 №16でチラッと書いた「宮本から君へ」の助成金不交付問題は、先ごろ東京地裁で、不交付の取り消しを命じる判決が出ました。
 この件についておさらいをすると、芸術文化振興会から助成金の交付が決まっていたのに、出演者の一人であるピエール瀧さんが麻薬取締法違反で有罪判決を受けたことで、「公益性の観点」から交付を取り消し、そのことに異議を唱えた製作会社のスターサンズ(「新聞記者」の会社ですね)が提訴していたというものです。
 弁護側は「表現の自由の価値に重きを置いた画期的な判決」と述べていて、おそらく過去の判例からはそうなのでしょうが、個人的には<当然の判決>ではないかと思ってます。ひと言でいえば、『作品に罪はない』ということです。

いつもの長いあとがき

 落穂拾いを続けます。

 「至福の柱」の件で書いた三百人劇場の「全貌シリーズ」。スタートは「ATG映画の全貌」だったようです。この企画にふさわしいスタートと言えますね。この上映には足を運んでいませんが、チラシが残っていて、企画=葛井欣士郎とクレジットされています。当時は見過ごしていましたが,この方はATGの直営館、アートシアター新宿文化の支配人を務めていました。フリーになってから「消えた劇場アートシアター新宿文化」という本を上梓しましたが、これは日本の映画・演劇の歴史を知るうえで、非常に貴重な書です。現場にいたからこそ知りえたエピソードはもちろんのこと、巻末に記された全上映・上演作のリストは、重要な資料的価値があります。
 私はATGについて、晩年の「竜馬暗殺」「曽根崎心中」「サード」あたりからしか知りません。今から追いかけるのは、かなり難しいでしょうね。
 もう一点、この「全貌シリーズ」は、初めて回数券を発行した上映会だと資料にありました。今では当たり前のことですが、何事も最初にやるのは画期的といえます。

 硬いハナシのあとは柔らかい話題。

 43号の締めに書いた応援上映、そのハシリとなったのは「ロッキー・ホラー・ショー」(1975年)かもしれません。公開当時は酷評されたらしいのですが、数年後にはカルト化され、一年中どこかしらで上映されているといわれるほどマニアから愛されました。確かに、あまりにも個性的過ぎて万人向けではないし、あの頃はソレが一般化していなかったので、マニアックなファンと同席してしまうと呆然とする観客もいました。でも、ヘンで楽しい映画には違いありません。これも大塚名画座でした。そうそう、若かりしスーザン・サランドンが可愛いですよ。
 本作は、私の大好きな映画「フェーム」の中にも登場します。いきなり本編を見るのはキケンなので(笑)、まずは劇中映画としてチラ見してからの方がいいかもしれませんね。

 ポニーキャニオンの「浜の朝日の嘘つきどもと」担当者とはメールや電話でしかやり取りありませんが、「まぼろしの市街戦」も「銀河鉄道の夜」も、ともにサントラLPを持っていると書き添えてありました。お借りしたい!(笑)。                 (沼田)