壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.46

◆この電子版はアーカイブ版の再録を基本としていますが、新しい号の発行自体が2ヶ月空いてしまったため、今回は最新号をご紹介いたします。

◆この『まちポレ壁新聞』最新126号『幻の企画』は、5階ロビーに掲示中です。

まちポレ壁新聞  №126  2024年2月3日

幻の企画

駅前純情シネマ その20

長患いをしてしまい、1月中旬から丸々3週間会社を休みました。業務に関してはスタッフが代行してくれて事なきを得たのですが、代わりが利かなかったのが『いわきポレポレ映画祭』です。
 前年から実行委員会で準備してきて、作品の最終選考まで行き、あとは各社にオファーするのみという段階まで進んでいたのですが、ここで私がダウンしてしまったため、やむなく中止の決定をせざるを得ませんでした。震災の前にスタートし、13回という歴史ある映画祭を<中断>するというのはまさに苦渋の決断ではありましたが、準備期間が足りなさすぎるのは誰の目にも明らかであったため、やむなしという結論に至りました。

 今更上映予定だった作品を挙げたところでまさにあとの祭りなのですが、共に開催に向けて集ってくれた実行委員のためにも、タイトルだけでも挙げさせてください。

 ①「映画の朝ごはん」。ひと口で言えば、ロケ弁のドキュメンタリー。練馬区にある「ポパイ」というお弁当屋さんを、沖田修一、黒沢清、瀬々敬久らの現役監督らの逸話とともに紹介した作品。内容にちなみ、茨城フィルムコミッションで働く友人にもトークを依頼済みでした。
 ②「ほかげ」。「野火」の塚本晋也監督最新作。主演は、今を時めく趣里さん。
 ③「ディス・マジック・モーメント」。マレーシア出身のリム・カーワイ監督が日本全国のミニシアターを巡ったドキュメンタリー。まちポレは登場しませんがね(笑)。こちらは、水戸で映画祭や自主上映会に尽力している友人にМCをオファーしており、ミニシアターの支配人にも声掛けするつもりでいました。
 ④「Winny」。ファイル共有ソフト『Winny』をめぐる一連の事件を、東出昌大主演、私のごひいき「ぜんぶ、ボクのせい」の松本優作監督が描いた話題作。
 ⑤「イニシェリン島の精霊」。映画料が心配ながらも、集客面を考慮してメジャーどころから一本。
 ⑥「人生タクシー」。「熊は、いない」のイランの名匠ジャファル・パナヒ監督の2017年公開作品。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作。

 以上の6本が上映予定作品でした。しかし、いかんせん地味過ぎ。そこで、予備候補として「いつかの君にもわかること」もリストアップしました(これも地味には違いないけど)。

いつもの長いあとがき

 しかし、この時点では「やりたい作品」というだけで、実際に取れるか、そして映画料が条件に合い、実現できたかというのは不明です。
 これらの作品が今後まちポレで陽の目を見ることがあるかどうかは分かりませんが、何とか上映したいなぁと考えている作品が何本かあることを申し添えておきます。

 コロナ禍以降ミニシアターが苦境に立っているのと同様、いわきポレポレ映画祭も曲がり角に来ていることもまた事実です。映画祭を始めた頃は、いわゆる単館系の作品はせいぜい月に一本程度しか公開されていませんでした。それが今では年間で200本近い作品がここいわきで上映されているのです。言うなれば、〈毎日が映画祭〉と言ってもいいような状況です。それに含まれなかった作品から見たい映画、あるいはもう一度見たい映画を選ぶとなると、その段階で既に選択肢は狭小になっています。往時のように4本千円というわけにもいきませんし。いっそのことファン投票を行って、その上位作品から選出するというのも選択肢の一つかもしれません。
 まぁ今回の中止をいい充電期間と捉え、来年以降の映画祭に活かしていけたらいいなと思っています。

 さて、自宅静養の期間中に体調のいい時には、撮り溜めしておいた映画を見たりもしました。「ショーシャンクの空に」と「Codaあいのうた」がそうです。もちろん共に劇場で見ています。

 前者は、民放の吹替版でCМ入り。当然ながら、放送枠に入るようにハサミが入っています。この作品も、モーガン・フリーマンも大好きな妻は、よりによって〇〇のシーンをカットすることはないだろ!と怒りまくっていました。確かにラスト近くのあの場面を切ってもストーリーは繋がります。しかし、重要な〈過程〉の描写がなくなっているのです。それでも私は、この映画を見て、初めて涙してしまいました。きっとそれは、病気で気弱になっていたためです。そんな時に〈希望〉という栄養剤を注入されたわけですから。
 ラストシーンは「きっと、うまくいく」を連想して、それも涙した理由の一つに違いありません。
 後者は、年末のアンコール特集にも取りあげたぐらい好きな作品。シナリオが秀逸ですよね。「希望とはいいもんだ」と改めて思いましたね。

 この2作、前者は当時の松竹富士、後者はGAGAの配給。常にと言っていいぐらいアカデミー賞に絡む良質な作品を公開している(いた)配給会社です。そういえばかなり前、松竹富士についてはいずれまた改めて取りあげますと書いたきりで、実行できていないなぁ。                     (沼田)