◆ちょっと間が空いてしまった電子版。最新号を出して、3週間近く更新していなかったことに気付きました。
バックナンバーをパラパラめくってすぐに、今回はコレだと思いました。最新号で『メロン騒動』に触れているんだから、「男はつらいよ」の最新にして最終の第50作を話のマクラとした、創刊第2号を取りあげます。
見出しはあとから付けたものですが、今のスタイルのベースがこの時に出来上がりました。
◆『まちポレ壁新聞』最新133号『普通じゃない人々』(6/3発行)は、5階ロビーに掲示中です。
※111号以降のバックナンバーのファイルもあります。
まちポレ壁新聞 №2 2018年9月14日
「ぼくの伯父さん」と脇役たち
タイトル未定の新しいコラム (その2)
わが目を疑うというのは適切な使い方ではないのですが、9月7日の朝刊を見て、思わず、えっ、と声に出してしまった。!マークだけでなく、?マークも入った「はぁ?」的意味合いもあるからです。
なんと、「男はつらいよ」の<新作>が、製作されるというではないですか。
そう聞けば、!と?が頭の中で渦巻いてしまったのもわかっていただけますよね。さくら(倍賞さん)の言葉を借りれば、「お兄ちゃん(渥美さん)がいないのに、どうやって?」です。
まだ、情報解禁前なのか、それともシノプシスが未完成なのか、製作発表の席上で山田監督の口から多くは語られなかったようですが、どうも満男君(吉岡秀隆)主演で物語が展開されるようですね。
まぁ、そう聞けば納得なのですが。
と、ここまでがいわばマクラ。
今回取り上げるのは、「男はつらいよ ぼくの伯父さん」(シリーズ42作目)。
私はいろいろな意味で、思い入れのある作品です。
まず、私の出身地である茨城・水郡線でロケが行われたこと、そして、そのタイトルバックに私の友人たちがエキストラ主演(デカデカと映ってます)したことからです。まぁ、枝葉末節ではありますが。
ただ、シリーズのベスト〇〇といわれても取り上げる方はあまりいない作品なのは事実。
しかしながら、この作品、「満男はつらいよ」として見れば、よくできた青春映画というのが私の感想です。それはこれを書くために何度目かの再見をした今も変わりません(実際、寅さんは<助演>なのですから)。
そして、思いを新たにしたのは、シリーズに必ず登場する赤電話のシーンの不可解さ。
レギュラーメンバー全員総出になるんですよね。山田監督は、もしかしたら最後になるかもというのを覚悟し始めていたのかも…と思えてなりません。
記念すべき50本目となる<新作>の公開は来年。
私は、「特別編」も加えた49作すべてを見ているわけではないのですが(40本ぐらいかな)、やはりスクリーンの寅さんたちに会いに行くでしょうね。
長いあとがき
昔から、脇役が好きだった。
例えば、黒澤組なら、主演の三船敏郎さんや志村喬さんよりも、脇で渋く光る藤原釜足さんや宮口精二さんにしびれた。
今や、日本映画に欠かせないバイプレイヤーとなった笹野高史さんですが、スクリーンでの出世作はこの「ぼくの伯父さん」ではなかったかと思っています。旅先でバイク事故にあった満男君を助ける黒の革ジャンを身にまとったライダー、しかし本性は……という役どころ。このエピソードだけですが、印象に残る役です。
それ以前にもテレビや映画でチョコチョコ見かけていた気はするのですが、記憶が定かではありません。
それよりも舞台では、自由劇場で頭角を現していましたね。
私は、銀座博品館での何度目かの再演となる83年の「上海バンスキング」を見ているのですが、その時から余貴美子さんとともに《目をつけて》いました。
ただ、改めてパンフレットを見直すと、なんと配役序列に名前がない! 写真は掲載されているし(もちろん前回公演のものですが)、何より、恒例のお見送りで劇中同様トランペットを吹いて送り出してくれたのに。ダブルキャストだったのか、翌年の「オオ・ミステイク!」と混同しているのか、はたまた単に私が記憶を美化しているだけなのか……。
「男はつらいよ」は、まさに脇役の存在なしには成し得ない演技のアンサンブルといえますが、その白眉たるや初代おいちゃん役の森川信さんでしょう! 「おいマクラ、さくら取ってくれ」は分かっているのにオカシイ。彼の病死は、シリーズの行く末さえ案じられたと言われているのも納得です。
最後に、ちょっとだけ新作の話題も。
「女は二度決断する」は、ポスターの雰囲気から「グロリア」(シャロン・ストーンでなく、もちろんジーナ・ローランズの方ね)をイメージして選んだのですが、やはりドイツ、「マリア・ブラウンの結婚」が近かったですね。
そうそう、創刊号は思いつくままに書いて発行してだったので、コーナータイトルまで気が回りませんでした。そんなわけで今回、遅ればせながらタイトルを付けました。どうだっ!
※ 勢いで、今回は早いスパンとなりましたが、ほぼ日ならぬ、ほぼ隔週を目指しています。番組も2週替わりだし。 (沼田)