壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.93

◆今は終了していますが、『まちポレ壁新聞』は一時期いわきアリオスのブログにも、月一ぐらいの割合で転載していました。始まりに際して私が要望したのが、『まちポレ紙ヒコーキ新聞』というタイトルへの変更です。そのくだりについては重複するので避けますが、興味のある方は『電子版15号』をご覧ください。
 今回は、そのご本家『紙ヒコーキ通信』の著者で、敬愛する長部日出雄さんの名言で始めた124号をご紹介します。

◆『まちポレ壁新聞』最新165号『生業』(8/7発行)は、5階ロビーに掲示中です。
 ※141号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞 №124  2023年11月22日
 
映画の伝説

駅前純情シネマ その18

『映画にはやはり<伝説>が必要だ』。
 これは、直木賞作家であり、映画監督の経験もある長部日出雄さんが、映画評論集の中で述べた言葉です。名言ですよね。
 
例えば。浅丘ルリ子さんが自動ドアの前に立っても、体重が軽すぎる故ドアが開かなかったと伝えられているエピソードがあります。いくら華奢とはいえそんなことはないと思うので、おそらくは電源が入っていなかっただとかそんなのに尾ひれがついて、面白おかしく伝わっただけなのではないかと思いつつも、もしかしたら本当かもしれないというリアルさもあります。
 
 この度、22年振りに公開されている「アメリ」。この作品の日本公開に至る経緯も、伝説の一つと言っていいかもしれません。
 それは、それまで洋ピン専門と言っていいニューセレクトのバイヤーが、ホラーサスペンス風の作品だと<勘違い>して買い付けたというのです。ところが、いざ蓋を開けてみたら同社史上最大のヒットになり、これがきっかけでアート系作品も積極的に輸入するようになったんだとか。バイヤーが買い付ける段階では企画書のみで、過去のスタッフ・キャストの顔ぶれから内容を想像するということもままあることでしょうから、それがいい方に外れたということでしょうかね? バイヤーさんの立場からしたら目利きじゃなかったということなので、痛し痒しかもしれませんが。
 でも、その勘違いが無かったら、まちポレで同社配給の「あなたの名前を呼べたなら」が公開されることもなかったかもしれません。本作と「マガディーラ完全版」が『インド印映画まつり』のスタートでしたからね。まちポレ&いわき近郊のインド映画沼の民においては、陰の功労者と言えるのかもww。
 余談ながら、再公開日が初公開時と全く同日の11月17日だとか。まさにこんな奇遇も伝説を増幅させているのかもしれません。
 
 顔が命と言えるスターなのに、顔を出さずに後ろ姿がポスターになった俳優がいます。それは「ランボー/怒りのアフガン」のシルベスター・スタローン。筋骨隆々の両腕で、頭に巻いたバンダナをギュっと結んでいる後ろ姿のシルエット。シリーズの3本目というネームバリューがあってこそとも言えますが、キョーレツに印象に残っていて忘れられません。
 ただ、配給の東宝東和はメイン作品のポスターを二種以上作るのが常だったので、他のデザインのポスターもあった可能性もあります。でもそれまでは、後ろ姿(背中)で語るのは高倉健さんぐらいしかいなかったと思います。インパクトは絶大でした。(注/正面向きのバージョンもありました。自分もコレクションしていました 笑)
 後年、女優のミラ・ジョヴォヴィッチも「バイオハザード」の何本目かで後ろ姿が採用されたのがあり、驚きました。「おー、とうとうスタローンの域にまで達したか」と(笑)。

いつもの長いあとがき

 思い起こせば一年前、インド映画に関する知識はほぼゼロに等しい状態から始めた『インド印映画まつり』も、ワンシーズンごとに行い、次回の『2024冬』で5回目となります。
 
 今回は「次回はエ〇」と予告していました。これは、毎回インドの国旗と同色のフラッグ中央部に入れているメイン作品の頭文字を指してしているのですが、私の思惑以上に「エロ」と捉えられてしまいました(笑)。まぁ、これは日ごろの行いの為せる業かもしれませんが。
 私は、エで始まるイニシャルと言ったら6つしかないから、指折りしていくと、即イコールで結ばれるぐらいМ⇒「マスター先生が来る!」にたどり着くと予想していたのですが、そういった反響はあまり見受けられませんでした(あとになって、そういえば「マッキー」「ムトゥ」もあったなとは思い至りましたが)。

 いつも通り難航したのは、<相方>選びです。
 先ず、メイン作品を決めたら、それとの組み合わせ(バランス)を考えてセレクトしていくのですが、その前に候補作品の権利の有無を調べなくてはなりません。配給会社に連絡してその確認をすると、そのたびに「残念ながら…」ということが繰り返されるのです。
 今回も、「ダンガル きっとつよくなる」「きっと、またあえる」は共に配給期限切れでNG。特に、前者は自分の中では今回本命視していただけに、想定外でショックでした。やむなく仕切り直し。まつり開始の初期から候補としては考えていた「パッドマン 5億人の女性を救った男」をダメもとでオファーしてみたら、何とこれが権利もありOKが出ました。こちらは期待してなかった分、逆に喜びもひとしおでした。
 他の2本は「インドと言えば」のスぺボさんからOKで出たので、3本めでたく決定と相成りました。

 でも、毎回本当に一番見たい&やりたいのは「バジュランギおじさんと、小さな迷子」。でも、配給期限切れなんですよねぇ。もっとも権利があったら、あちこちの劇場から引く手あまたでしょうけれど。
 今回初めてまつりのテーマを付けてみました。それがなんともはや『大スターがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』というshowもないものしか思い至らず。この雪辱を果たすには、まだやっていないサルマン・カーンの主演作を上映するしかありませんかね? 待ってろよ!              (沼田)