◆前回に続いて今回も、周年祭合わせで書いた1年前の114号をご紹介。最新版が134号だから、以降の1年で20回。ほぼ隔週で続いているのか。
一年前と共通しているのが、①夜の部上映を行ったこと。今回は、「おいしい給食」「関心領域」「悪は存在しない」の3作品。それぞれ好評でした。この後はしばらくお休みいたしますが、折を見てまたやりますのでお楽しみに。
もう一つ、②「響け!情熱のムリダンガム」のサントラを再販売いたします。しかも、劇伴入りで曲目も増えています。入荷が僅少なので、お早めにお買い求めください。
◆『まちポレ壁新聞』最新134号『甦る記憶』(7/3発行)は、5階ロビーに掲示中です。
※111号以降のバックナンバーのファイルもあります。
まちポレ壁新聞 №114 2023年7月4日
選ばないベストテン
駅前純情シネマ その8
あれは確か6月上旬「アダマン号に乗って」の時だったと思いますが、「来週から忙しいから、今日無理して見に来たわ」という常連さんがいらっしゃいました。
この「来週」というのは、6月16日の週を指しています。
確かに、です。前々号で書いた「波紋」「聖地には蜘蛛が巣を張る」、そのあと見た「ザ・ホエール」「TAR」をはじめ、粒ぞろいです。ネットの書き込みでは、「今週は4本続けて見られる」というのもありました。これにとどまらず、「パリタクシー」「ライオン少年」「青いカフタンの仕立て屋」と言った作品が直後に控え、まさしく枚挙にいとまがない状況です。
あまり好きな例えではありませんが、6~7月だけでも今年のベストテンが選べそうな、実に充実したラインナップです。
ただ、私はベストテン選び、もっとはっきり言えば順位付けするというのがあまり好きではありません。もちろん、あれよりはこっちの方が優れているという感想を持つことはありますが、1位から順にランキングするというのをどうも……やりたくないのです。
これは多分、お客様から料金と時間を割いて映画を見て頂くという仕事をずっと続けているからだと思っているのですが。
映画を見始めた頃、10~20代のまだ青かったころはしたり顔で、これがオレの選んだベストテンだ、どうだっ!てなもんでしたが。
そのうち、前出の理由から順位付けをしなくなりました。前任地で観客+スタッフでやった「ベストテンごっこ」も、ぴあに倣っての持ち点振り分け制にしてたし。これは、以前にも書いたとおり、減点法ではなく加点法的意味合いのランキングです。
例えると。上限5本15点の持ち点を与えます。それを、断トツで好きな作品があれば1本に15点。甲乙つけがたい作品が3本あったら、各5点×3本=15点。順位付けに拘った場合は、順に5,4,3,2,1点=15点といった具合に配点するシステムです。このぴあ形式の選出法は、ファンの思いを反映した見事なアイデアだと思います。私はそっくりそれを見習って(パクリとも言いますが笑)、<ファンが加点法で選んだもの>という意味で、タイトルを『私情最強のベスト点』と名付けました。これは、2月発行の番組表で発表していたので、映画ファンの冬の風物詩になっていたかもしれません(かなりの贔屓目ですが笑)。
いつもの長いあとがき
7月初週、久しぶりに夜の部を追加上映しました。GWの「RRR」以来、丸2か月ぶりになりますか。「プー あくまのくまさん」という夜向きの作品に合わせたのですが、あにはからんや、一緒にやるという程度だった「パリタクシー」の方にお客様が集中するという意外な結果が出ました。常連さんの姿もあったし、前述したように番組が充実しすぎているから、昼1回では見るのが追い付かないのかもと感じた次第です。来週は「カフタン」やりますよ。週イチなら、スタッフの『過・負担』もないしね。
先日、時節柄の贈り物で高級パイナップルをいただきました。「今年は(いつもの)マンゴーじゃないの?」と軽口をたたく妻を横目に、「でも、子どもの頃、病気にでもならないとパイナップルなんて食べられなかったよ」と昭和世代の私。そこから、ルーティーンの如く話題は「おもひでぽろぽろ」に繋がったのですが、「でも、結局は缶詰の方がおいしいって言うんだよね」と私も忘れているエピソードを妻は口にしました。へーっ、記憶力いいじゃん(笑)。
この話を会社でしたら、「サクマドロップもそうですか?」と返されたので、それは「火垂るの墓」ですよ、と私。
妻はちょうどその晩テレビ放映していた「タイタニック」を見ながら、主人公のラスト近くの「あぅっ」という台詞を、「みんな真似したなぁ」と言います。これも私の記憶からは消えている。そのくせ、代表的な名場面を「三崎公園の潮見台で真似したよね」と言ったのには、「そんなことあった?」と都合の悪いことは(笑)はぐらかします。一緒になって20年も過ぎるとこんなもんですよ(笑)。
この稿を書いている最中に、「パリタクシー」を見ました。作品の完成度云々よりも、『いい映画を見た』と感じさせる作品でした。今でも『ぴあテン』があったらランキングしてきそうと感じましたね。主役二人が出会う場面での立ち居振る舞いを見るだけでその後の展開が予想され、実際その通りになるのですが、後味がいいのです。私は、ちょっと泣いてしまいました。
そして、朝イチでこれを見てから実家へ向かったのですが、往復の4時間、「響け!情熱のムリダンガム」のサントラをずっとリピートで流していました。贔屓目なしのニュートラルの視点で見て、このサントラは名盤です。映画を再見したくなりました。
これはうろ覚えで書くのですが、どこかの映画館で、ある俳優の特集上映期間中、その名前をもじって館名(通称でしょうが)を変えたというのがあったはずです。『クリント・イーストウッド劇場』じゃなかったかなぁ⁉
まちポレも7月はインド映画三昧月間となるので、思い切って改名しますか⁉ 沼の民の皆様、ズバリ『惚れ惚れいわき』というのはどうでしょう⁉ 誰?ブランド米みたいだなんてこと言うのは(笑)。 (沼田)