◆最新162号では久しぶりに「昔話」を書きましたが、その中で触れた「Time My-Scene」の初回がいつだったのかと思い、バックナンバーを調べなおしてみました。それが今回取りあげる4年前の36号です。コーナータイトルは「タイトル未定の新しいコラム」に始まり、「Time My-Scene」、そして今の「駅前純情シネマ」と続いています。
本文中に右ページ・左ページとあるのは、創刊当初は本文とあとがきを1ページ単位で分けて書いていたためです。今はトータルで2ページというスタイルに変えています。
◆『まちポレ壁新聞』最新162号『見知らぬ乗客』(7/12発行)は、5階ロビーに掲示中です。
※131号以降のバックナンバーのファイルもあります。
まちポレ壁新聞 №36 2021年5月31日
続美しき富士
Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.1)
超ハイペース刊行が続く壁新聞、これまでは、発行時に次号が途中まで出来ているからというのがその理由だったのですが、ここ数回は、終わったら全くの白紙というのが続いています。
それなのに次々と発行できるのは、友人たちが「ネタ」を提供、あるいはそのヒントをくれるからです。要するに「他人のふんどしで」何とやらですね。前号など、その典型(笑)。
今号もご多分に漏れず、二匹目のドジョウです。加えて、今回は二兎を追います。
松竹富士のことを書いた時に、洋画だけでなく邦画にもいいのがあります!と書いて締めたんだけれど、実はあれ、予告ではなく単なる穴埋め(笑)。いや、作品が云々ではなく、原稿としてまとまりそうもないという意味においてです。
ところが、私が書いた「神様のくれた赤ん坊」の主題歌の件に触発されて、古い映画主題歌を聴き直していると、友人が送ってきたのです。
それが「魚影の群れ」(1983年)の「Bright Light, in the Sea」(原田芳雄さんとアンリ菅野さんのデュエット)と、ちあきなおみさんが歌った「時代屋の女房」(1983年)の主題歌「アゲイン」でした。共に見てはいるけど、どちらも歌は覚えていません。今回YouTube動画で聴き直してみましたが、やはり原田さんのブルースには酔わされますね。もう過去の声でしか聴けないというのが残念です。
この二作は奇しくも夏目雅子さん主演ですが、ここでは彼女は置いといて、この「魚影の群れ」が松竹富士の配給なのです(「時代屋の女房」は松竹配給)。
松竹富士の邦画の歴史は、イコール奥山和由プロデューサーについて語ることと言っても過言でなく、「その男、凶暴につき」「無能の人」「SCORE」など重要な作品もあるのですが、私が最も惹かれたのは、この「魚影の群れ」でした。
どういうわけか私は、席数千を誇る新宿ピカデリー(シネコン以前の)で、珍しく封切を見ました。それだけ期待が大きかったのかもしれません。
相米慎二の骨太の演出で見応えのある作品でしたが、その遥か上を行くのが撮影秘話。調べれば簡単に分かることなので端折りますが、このエピソードに登場する映画人が凄過ぎ! 松坂慶子、脚本の野上龍雄、五木寛之原作「朱鷺の墓」、深作欣二(以上敬称略)。本作が、あの「蒲田行進曲」が生まれるきっかけになったというのは初耳でした。
いつもの長いあとがき
前号の締めで、高橋真梨子さんが歌う「神様のくれた赤ん坊」の主題歌「もしかしたら」を探していると書いたら、何とお二人から情報提供が有りました。全くもって壁新聞の読者(=友人ですが)ときたら、なんて面倒見がいいのか(笑)。とにかく、収録されたアルバムが存在するということが分かりました。この場を借りてお礼申し上げます(笑)。
ただ、嬉しいのは事実なのですが、反面拍子抜けしたような感覚もあるのです。何ていうのかな? 恋愛はその過程が一番燃えあがるのと同じで、成就してしまうと…というのに似てると言ったらいいのか?
さて、今回から、左ページのタイトルを変えました。
ずうーっと「タイトル未定の新しいコラム」で通してきたものね。もっと早く変えるべきでした(笑)。命名の由来は見ての通り、タイムマシーンと「自分の」というのを掛けています。そして加藤登紀子さんの同名曲を添えて。「時には」ではなく「いつでも」じゃないのという異論はおありでしょうが、そこは目をつぶるように(笑)。
ちなみに、こちら(右ページ)はずっとこのままのコーナータイトルですね(笑)。
「時代屋の女房」は森崎東監督作品。前号で名前のみ出したけど、未見の作品が多く、作風はよくわかりません。喜劇の名匠と言われていますが、晩年の「ペコロスの母に会いに行く」ではベストワンに輝きました。
未見ゆえに個人的に気になっているのが、監督し、脚本も書いた1984年の「ロケーション」という作品。ピンク映画の製作現場を舞台にしているのですが、劇中、大楠道代さんの代役で主演となるのが美保純ちゃん、彼女のお墓参りのための里帰り先がいわき市湯本。だったら、脚本もそういうふうに書き換えちゃえ!といういい加減な現場(笑)。
実際にこちらで撮影されたようで、資料には、撮影協力にいわき市観光協会、常磐ハワイアンセンターの名前もあるし、何処の海岸なのか砂浜の画像もあります。
この映画を当地で上映できないかという動きが出でいます。いや、まだ会話の上だけですけれど。30数年前のいわきが映っている映画。見たいと思いませんか?
今回の原稿は、何故か故人ばかり。原田さん、夏目さん、相米、深作、森崎の監督お三方。
締めの穴埋めエピソード。ハワイアンセンターと言えば当然「フラガール」ですが、私の実家近くの河川敷でも撮影されました。蒼井優ちゃんと徳永えりちゃんのあの別れの名場面。私は、二人が踏んだ(に違いない)石を記念に拾ってきた<無能の人>です(笑)。 (沼田)