壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.94

◆9/26から、「狂い咲きサンダーロード」の上映が決まりました。45年ぶりです。それどころか(当時の資料がないので不明ですが)、いわき地区初公開の可能性もあります。若くして亡くなってしまった山田辰夫さんが尖がっていたころのメジャーデビュー作でした。そんな彼の晩年の代表作に触れた、4年前の58号を取りあげます。

最後に紹介した「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」も9月のリバイバルが決まったようですが、こちらは今のところまちポレでの予定はございません。

 

◆『まちポレ壁新聞』最新166号『映画もTPO』(8/28発行)は、5階ロビーに掲示中です。

※141号以降のバックナンバーのファイルもあります。

 

まちポレ壁新聞 №58 2021年10月16日

映画館主義

Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.23)

 

私は映画館信奉者です。

映画館で見逃したら、ハイそれまで、それで終わりぐらいのつもりでいました。

一年前に引っ越してテレビの受信環境がよくなり映画の録画が増えても、それは「老後のお楽しみ」ぐらいのつもりでいたのです。だいたいこれまでは録画・レンタル合わせ、ホームビデオ鑑賞は年にせいぜい2~3本だったので。

理由は簡単です。一作品2~2時間半、住居回りの生活音や家庭内の状況など、それを見るための<環境>がないからです。性格的にながら見が出来ないので、はなから諦めていたわけです。

 

ところがこの半年ぐらいで家でのビデオ鑑賞は激増して、既に十数本見ているという状況です。以前までは「ビデオを見るのに、一度でも停止や巻き戻しをしなかったことがある?」という橋本治氏の発言に頷いていたのに、二度に分けて見るなどという邪道的鑑賞も出てきました。激変です。

もちろん、アタマだけちょっと…のつもりで見始めても、一気にそのまま見入ってしまうということもあります。要するに作品次第ということですね。

 

「壬生義士伝」(2003年)はまさにそんな作品でした。

この作品、私にとっては2人のキーパーソンがいます。

ひとりは、主演の中井貴一さん。

ほぼ同世代だし、山田太一ファンの私にとって「ふぞろいの林檎たち」シリーズは、バイブルといっていいドラマであり、それの主演者です。しかし、演技については巧いのかどうか、判別しかねていたのです。そんなモヤモヤを吹き飛ばしてくれました。彼がいなかったらこの映画の成功は成し得なかったことでしょう。間違いなく代表作です。

もう一人が山田辰夫さんです。

「狂い咲きサンダーロード」(1980年)から見ていますが、デビュー作が暴走族のリーダー役だったためか、どうもそういうイメージが付きまとっていました。しばらく見ないでいたのですが、いやぁオドロキました。番頭さんのような役で、極端に言えば新撰組時代に関しては彼がいなくても物語は成立します。しかし、その佇まいは画面に必要なのです。なくてはならない存在なのです。その思いは製作スタッフも同じだったのか、随分と彼に寄り添っているなぁとヒシヒシ伝わってきました。物語の後半や老年期には見せ場もあります。

鑑賞後に分かったことですが、本作の滝田洋二郎監督と山田辰夫さんは高校の3年間、ずっと同じクラスに在籍していたそうですね。道理で。もっとこの二人のコンビ作、見たかったな。

 

いつもの長いあとがき

 

地上波ほど<露骨>ではありませんが、BSでもやはり関連作を続けて放送しますね。数日後には、同じ浅田次郎原作の「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年)がオンエアー。

こちらは一年半前、コロナ禍で新作がストップしていた時期に小名浜でも上映しました。その時は冒頭をチェックしたのみでした。原作を読んだのもだいぶ前で忘れていることが多かったのですが、ちょっと「フィールド・オブ・ドリームス」を連想しました。失った者への哀悼の意と悔恨の情。ずっと愚直にひとつのことを極めてきたからこそ、その人は「現れた」と言えるのかもしれません。

「テネシー・ワルツ」が冒頭で流れたときは、スタッフの洒落っ気かなとも思いましたが、「失ってしまった者に会いたい」という切実な思いの代弁なのかな。劇中で何度も効果的に使われていました。

それにしても、廃線間近で乗降客も住民もほとんどいない、ほぼ駅舎の中だけで展開する物語を、2時間作り上げてしまうのだから大したものです。

 

関連付けたのかどうかは不明ですが、健さんの「動乱」(1980年)も同じころ放送されました。

こちらは唯一、完成前の『ラッシュ試写』というものを体験した作品です。確か20数分だけでした。上映時間が2時間30分もあるのに、どうしてわざわざ開催したのかその意図は不明ですが。映画評論家の品田雄吉さんの講演もあり、そちらがメインだったのかな?  終了後近くの喫茶店でのインタビューに同席させていただきましたが、ラッシュともども、内容に関しては記憶から消えています。

一番忘れられないのは「男が男であった、女が女であった」という惹句。東映の宣伝マン関根忠郎さんによるものかどうかウラは取っていませんが、高倉健&吉永小百合初共演という話題と、映画の時代背景にマッチしたカンペキな宣伝文句ですよね。(注/友人より、関根さんではないというご指摘がありました)

封切時にも見ているんだけど、今回は冒頭の10数分を見たのみでペンディング。このまま「ラッシュ」で終わってしまいそうな気も(笑)。

 

録画した作品で<順番待ち1位>なのが、つい先日放送した「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」。

遅番で帰宅して深夜1時ごろ、冒頭のダニー・エルフマンのスコアをバックに流れるクレジットタイトルだけ見ました(笑)。サントラもあるのに待ちきれなくて。どこかで、2時間7分、時間を作り出さなくちゃ。

 

ところで今回は、タイトルに偽りありでしたね。「映画館主義者のホームビデオ鑑賞」、または「ビデオ三昧」が適切だったかも?         (沼田)