◆どこの家庭でもそうかもしれませんが、録画再生をしていると我が家では、「また見てるの?」というセリフが飛び交います。私の場合だと、『舟を編む」『壬生義士伝』『Coda』などで、妻は『古畑任三郎』『おしん』などドラマのリピート率が多いかな?
そこで今回は、「スオミの話をしよう」も始まったことだし、田村正和さんを追悼して『古畑任三郎』のことを中心に書いた、3年前の40号をご紹介します。
◆『まちポレ壁新聞』最新136号『映画=邦画+洋画』(8/23発行)は、5階ロビーに掲示中です。
※121号以降のバックナンバーのファイルもあります。
まちポレ壁新聞 №40 2021年6月8日
テレビの名優
Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.5)
田村正和さんが亡くなった。
代表作と言われるテレビドラマ「パパはニュースキャスター」も「警部補 古畑任三郎」シリーズもほとんど見ていない私は、実は俳優としての活躍をよく知らないのです。それは、名コンビと謳われた三谷幸喜さんも田村さんもあまり好みではないという理由からです。それでいて、「ラヂオの時間」も「12人の優しい日本人」も(このコンビではありませんが)好きな作品だし、今回追悼放送された「古畑任三郎」も、妻に付き合い、見ると面白いのです。要するに、世間には迎合しないゾという天の邪鬼体質からきているものなのですね(笑)。
朝日新聞の人気連載コラム、「三谷幸喜のありふれた生活」の5月22日付けで三谷さんが田村さんへ寄せた追悼文は、親愛の情と畏敬の念にあふれ、静かながらも胸に迫る<盟友>への弔辞といえるものでした。合掌。
この中で三谷さんは、田村さんのことを<テレビ俳優>と表現していました。このことに関しては、ご自身もそう言っているようですね。映画で失敗したけど、それを教訓と糧にしてテレビに活路を見出したと。
古い壁新聞で、笠智衆さんのことを<テレビの名優>と評した森卓也さんのコメントを引用して「名言」だと記しましたが、同じことが言えますね。そして、この「テレビ俳優」という表現には、<誇り>も感じます。
訃報を聞いて妻は早々にレンタル店へと走りましたが、「古いのが全然置いてない!」と嘆いて戻ってきました。そうなのですよ。あるのは新しめの人気シリーズのみ。商売ですから、年に何回借りられているの?というような物をいつまでも置けないですものね。残念ではあるけれど、止む無し。
今回の訃報がらみで初めて知ったことがあります。それは「著作隣接権」というものです。著作権は誰でも知っていると思いますが、「隣接権」何やそれ?でした。これがかなり厄介なのですね。私はてっきり、プロデューサーやⒸマークがらみだけクリアすればいいのかと思っていたのですが、とんだ間違い。出演者など隅から隅までが絡んでくるのですね。考えたら、映画やドラマは<総合芸術>ですから当然のことではあるのですが。故に、該当者が亡くなっていたりすると更に面倒なことになるわけです。そう考えると古い作品を放送するには、クリアしなければならないさまざまな<障害>があるのですね。
この前書いた、佐藤浩市さん絡みで「事件」シリーズを見たいと思っても、レンタル店には置いてないわ、テレビでは放送されないわでは、もう紙やネット上での<情報>でしか作品に触れられないわけです。だからテレビは<垂れ流し>と、関係者自らが自嘲気味に言ってしまうのでしょうね。
いつもの長いあとがき
需要を考えたら、テレビ(ドラマ)はある程度仕方ない面もあるかもしれませんが、今はコロナ禍により映画も思うに任せない状況が続いています。
苦難の末、5月21日に揃って初日を迎えた、「いのちの停車場」と「茜色に焼かれる」の舞台挨拶で出演者らが吐露した言葉は、メジャーも単館系も関係なく、悲痛なものがありました。
前者では、主演の吉永小百合さんが「演劇は良くて、どうして映画はだめなのか」と休館で無人となった東京のメイン館(になったはず)の会場から全国の観客へ訴え、以下に続いた松坂桃李さんらも同様の思いを言葉を選びながら述べていました。作品は未見ですが、在宅医療がテーマですから切実です。
ちょっと脇道にそれますが、この作品の新聞広告はかつてないものでした。上段にデカデカと「映画館では、感染症対策を徹底しております。安心してお越しください」の活字が躍り、「映画は心に必要」という薄い文字がバックにあしらわれるという構図です。作品の宣伝に至ってはわずか三分の一。まるで興行組合が出しているのかと見まがう程で、まさに<叫び>に近いものでした。観客ではなく、政府に対しているようにさえ私には感じました。
片や後者は、映画で鬼気迫る存在感を見せた尾野真千子さんが、苦難の続いた撮影現場を思い出したのか、感極まって涙ながらに「みんなで見に来てください」と語ったそうです。登場人物たちの多くがマスクをしているという、まさしく<今>を描き、おそらく来年の映画賞をにぎわすであろう濃厚な作品です。
映画館で映画を見るという、今まで当たり前だったことが実はそうではなく、私たちは、単にそう思い込んでいただけだったのですね。
ところで、後者にはオダギリジョーさんも出演しているのですが、自分にとって壁新聞は「時効警察」のようなものですね。どーゆ―ことか?と言いますと、要するに<趣味>です(笑)。打ち込むのは全て自宅でやっているので。ほとんど霧山修一朗の世界(笑)。真似て、「壁新聞の内容は、誰にも言いませんカード」でも作りますか?←意味不明(笑)。
追悼記事から始まったために今回はまともに行き過ぎてしまったので、最後は、前回書き忘れたどうでもいいことで締めたいと思います(笑)。
初めて見に行った劇映画「犬と私の10の約束」のタイトルを、息子は何故か、「犬とアタシの10の約束」とあの頃は覚えていたのです。何だか違う内容で、主演も田中麗奈ちゃんではなくソッチ系の俳優さんに思えてしまう私でした(笑)。 (沼田)