壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.76

◆1箇月ぶりとなる146号を出してからというもの、堰を切ったようにローテーション無視の中3日ぐらいで出し続け、いつの間にやら150という大台に乗りました。その分、アーカイブの間が空いてしまったのですが。

少し前に妻のお気に入りご飯茶碗を割ってしまったことから、雑貨屋さんめぐりが続く今日この頃なので、焼き物の話題から入った4年前の45号をご紹介します。後半では、Netflix映画でリメイクされたことで話題になっている、「新幹線大爆破」オリジナル版についても触れています。

 

◆『まちポレ壁新聞』最新150号『イントロ』(3/10発行)は、5階ロビーに掲示中です。

※121号以降のバックナンバーのファイルもあります。

 

まちポレ壁新聞 №45  2021年7月9日

「残す」ということ

Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.10)

 

焼き物が好きなので、年に何度かは笠間や益子、あるいは会津を訪れて陶器屋さん巡りをしたり、窯元を訪ねたりしています。

今年の三月には、まだ笠間日動美術館に行ったことがないという妻を誘い、「夢二×ローランサン展」を見に笠間に出かけました。私自身も日動は二年振りぐらいかも。

以前は、曜日別に色分けされたフック式のバッジを入場時にプレゼントしてくれて、私は三色まで揃えました。それも今はなくなって、通常のチケットにイベント名のスタンプを押しただけというものに変わってました。経費削減、またはトップの交代などということがあったのかもしれませんが、<記念>という意味合いは薄れてしまいましたね。

だいたい公共施設は押しなべてそうですよね。<常設>だから仕方ないけど。

 

前号で書いたフィルムセンターもそうでした。

名刺サイズ、青バックの背景にフィルムリールがあしらわれ、通しナンバーに「フィルムセンター 観賞券」と印字された入場券。そう、確かに<入場券>でもあるので仕方ないのですが、味も素っ気もありません。大体、何を見たかの記録がない!  それで私は、作品のタイトルと日付、特集名をメモするようにしました。前回は手許にそれがなく詳細不明のため記憶で書いたのですが、実家を探してみたら見つかりました。

「煙突の見える場所」は、『逝ける映画人を偲んで』で五所平之助監督の追悼、「フリッツ・ザ・キャット」は、やはり『収蔵映画未上映作品集<外国篇>』でした。おおよそは合ってましたね。

 

前者では、ほかに脚本家のいどあきおさんの追悼、後者では、「デリンジャー」と「私のように美しい娘」というタイトルが入場券に記録されていました。

特集ともなると1ヶ月半にも渡るので、作品をリストアップするだけでも大変でしょうが、「デリンジャー」だったら単純にギャング映画、あるいはアメリカン・ニューシネマ、「私のように美しい娘」だったらトリュフォー監督、またはヌーヴェル・ヴァーグなどと特集が組めそうな気もしますけど!?(トリュフォー監督特集は、ぴあがやりましたね)

 

この入場券は、全部で23枚残っていました。逆に言うと、それだけしかフィルムセンターには行ってないとも言えます。京橋にあって遠いというのと、上映時間が午後3時と6時15分の2回だけ(作品の長さによる)のため混雑するから、早めに行って席を取らないとならないので他館とハシゴが出来ないという理由からでした。

見た特集の中で一つだけ異彩を放っているのが、『春休み少年少女名作鑑賞』という企画。もっとも見たのは「野菊の如き君なりき」でしたけど。主催者側としては、『お父さんお母さん、お子様と一緒に不滅の名作を是非』ということかもしれませんね。

 

いつもの長いあとがき

 

国立映画アーカイブでは、2019年に『深作欣二監督特集』を行いましたが、この7月9日から東映の<本丸>丸の内TOEIに於いて、設立70周年記念の「東映名作選」と題して、新旧の代表作19本が上映中です。

その中にはアクション映画の傑作「新幹線大爆破」もリストアップされているのですが、私の自慢は(エッヘン!)そのフランス公開版「Super Express 109」を見ていることです。2時間32分あるオリジナル版を1時間40分ぐらいに再編集。ドラマ部分をそぎ落とし、主にアクションのみというもので、ドラマとしての緻密な面白みには欠けますが、健さんがフランス語を喋るという珍品です(吹替ね)。もちろん、セットで見てこそ楽しさが倍増する作品です。

 

最初に書いた「夢二×ローランサン展」には「乙女の夢はアヴァンギャルド」というサブタイトルが付いていて、館内では伝説的な前衛映画「カリガリ博士」がモニターから流れていました。

確かに美術展ではよく見る光景ではありますが、それが別室ではなく<順路>の中に位置しているという、映画以上に画期的なセッティングでありました(笑)。

しかしこの映画、1920年の製作。まるまる100年一世紀前です。こうなると<昔>どころか<歴史>です!

 

確かにこのクラスの古典になると、それこそ映画アーカイブにでも行かないと見られそうもないけれど、「戦艦ポチョムキン」を見ないで「アンタッチャブル」を見ること、「新幹線大爆破」を知らずに「暴走機関車」や「スピード」を見ることは、やはり違いますよ。単独でも十分に面白いけれど、ベースを知らないとね。

 

さて、笠間には意外と知られていない、日本最大級の御影石(稲田石)の採掘場があるのですが、いつの間にか有料施設になっていました。オマケにこれまた名産の笠間栗を使ったモンブラン専門店まで出来ていて、それが何と千円! 場所柄、ここではよく映画やドラマの撮影も行われているようですが、これだったらやはり戦隊もののロケやミュージックビデオ撮影の聖地、宇都宮の大谷石採掘場の方をおススメする元茨城県民の私です。

 

道すがら、酒蔵磯蔵酒造に寄り、ずっとハンドルを握っていた妻に純米吟醸酒をプレゼントし、いわきへの帰路についた春の一日でありました。  (沼田)