壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.44

◆山田太一さんが亡くなりました。山田太一さんを取りあげた6号は既に電子版17号で紹介済みで、「シャツの店」について触れた11号も、どちらかというと八千草薫さんの追悼が中心でした。そこで今回は、倉本聰さんを含めてシナリオライターの御三家と言われた向田邦子さんを取りあげた4年前の15号をご紹介します。

◆『まちポレ壁新聞』最新125号『映画を“見る”』は、5階ロビーに掲示中です。
 ※101号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞 №15  2019年12月28日

思い込んでいるだけ?

タイトル未定の新しいコラム (その15)

ずっと喉の奥に刺さった小骨が取れないような、思い出せずにいる記憶があり、はがゆい……。

仕事柄、手首に輪ゴムをはめることが多い。特に木曜日、楽日の晩。理由は簡単明瞭、ポスターの張替えがあるからです。そんな時いつも思い出すのが、向田邦子さんのエッセイ。確か、輪ゴムを扱った作品があったはず…。で、本棚を探したり、ネット検索をしたりしてみるんだけど、タイトルが思い出せないせいか、いまだに探し当てられず。

昔のお母さんやおばあちゃんは、必ず手首に輪ゴムをはめていたように思います。昔という言葉を「昭和」に代えてもいいかもしれません。あるいは我が家に置き換えても、祖母は必ず輪ゴムを持っていました。手首だったり、白い割烹着のポケットだったり。「おばあさん、輪ゴムない?」と聞くと、すぐさま出してくれました。今のように密閉クリップなどない時代だし、ヘアゴムの代わりに髪を束ねたり、開封した砂糖袋を縛ったり…。しかし今では、手首に輪ゴムをはめてたり、あるいはその跡がくっきりとある女性などついぞお目にかかれませんね。だからもしかしたら勝手に私が、向田さんなら必ずや、それを文章にしたためているはずだと思い込んでいるだけなのかも。

ひとむかし前、お正月のテレビの楽しみと言えば、TBS系の向田邦子スペシャルドラマでした。演出が向田さんの盟友久世光彦さん、主演は、田中裕子さん、加藤治子さん、小林薫さんとだいたいいつも同じ顔ぶれ。
これもまた仕事柄、本放送の時は多忙を極め、だいたいビデオに録ってあとでというのがほとんど。代表作は「女正月」のように思うのですが、これももしかしたら未見で、エッセイを読んで、あの顔ぶれの出演者から想像して、勝手に見た気になっているだけという可能性もなきにしもあらず…。
「女正月」という言葉は、向田さんのエッセイで初めて知りました。いい響きのいい言葉ですよね。

そういえば、渡辺美佐子さんが向田さんの「父の詫び状」と「身体髪膚」を朗読したCDがあって、これは間違いなく聞いているはずなのですが、そのCDは持ってないんですよ。ラジオで全文を流すということは考えられないから、ということはこれもやはり思い込み、なの? 好きな作品は何度も読み返しているから、もはや絵となり、声となっているのかもしれません。
名編「字のない葉書」は、今や教科書に採用されているんですよね。まさに「〇(まる)」です。

いつもの長いあとがき

 大下さんの仕事場(ご自身は引退)にお邪魔して、肖像画のパネルをまたお借りしてきました。今回は、ショーン・コネリー、ペ・ヨンジュン、そしてカーク・ダグラスの3枚。梱包用のプチプチで覆われていたので最後のが分からず、「ポール・ニューマンですか?」と尋ねたら、「カーク・ダグラス。私、この人、好きでねぇ」。
そのあと、「OK牧場の決闘」やら、息子(マイケル・ダグラスね)に負けてるだの、いや親父にはかなわないだの、しばし映画談義。この昔話を聞くのがたまらなく楽しくて伺っているようなものです。
そういえば、向田さんのエッセイでカーク・ダグラスについて書いたのがあり、これが大ケッ作。映画雑誌の仕事をしていたころの電話でのやり取りで、カーク・ダグラス主演の新作「悪党部落」云々…。シカシ、ソレハ「アクト・オブ・ラブ」の聞き違いだったという。ちょっと眉唾の気がしないでもないけど、でも、カーク・ダグラスならそういう映画、ありそうじゃないですか(笑)。

それで思い出したのが、今は退職した経理事務の女性が、「『セーロンシャーリー』っていう映画やってますか?」という電話問い合わせを受け、「中国映画なの???」となってしまい、代わってみたら、それは「生存者あり」(「252 生存者あり」)のことでした。でも、確かにそう聞こえなくもない(笑)。彼女は今でも時々見に来てくれるので、もしこれを見たらネタにされ赤面ものでしょうが、きっと笑って許してくれることでしょう☺

ところで、前回の記事で大きな勘違いが一つ。
 「ビッグ・ウェンズデー」と「フェーム」は同年の公開ではありませんね。
「フェーム」はもの凄く愛着はあるけど、その年のベストムービーは「ローズ」「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」「神様のくれた赤ん坊」で決まり! 
 でも、この年のラインナップは凄いヨ。タイトルの羅列になってしまうから控えるけど、「テス」も「悲愁」も「マリア・ブラウンの結婚」も「ヒポクラテスたち」も「翔んだカップル」も! あまりの凄さに、結局書き出してしもたワイ。

 最後に、実は喉の奥にはもう一本小骨が刺さったままで…。
 「閉鎖病棟」と「夜会工場」を同時期に公開しましたが、30年ぐらい前の看護婦を主役にした映画で、中島みゆきの歌が感動的に流れ、強烈な印象を残す予告編を見た記憶があって…。
 時期と内容的にフィットするは、大竹しのぶ主演の「復活の朝」(1992年)なんだけど、音楽は違うんですよね。中島みゆきマニアが、彼女の歌が使われた映画、予告、ドラマなどすべてを調べたサイトがありましたが、使われていないようです。

 やはり、喉の奥の小骨って、実際問題なかなか取れないですよね。(沼田)