壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.59

◆春に再公開された初期の宮崎駿監督作品、「名探偵ホームズ」と「未来少年コナン」。2作品ともまちポレではやらなかったので、夏休み終盤の16日から公開することにしました。そんなわけでアーカイブも、ジブリ作品を中心に書いた3年前の31号をご紹介します。実はワタクシ、オタクだったのかも(笑)。

◆『まちポレ壁新聞』最新134号『甦る記憶』(7/3発行)は、5階ロビーに掲示中です。
 ※111号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞  №31  2021年5月1日

ジブリがいっぱい

タイトル未定の新しいコラム (その31)

何だか、一年前の悪夢が甦ってくるような昨今のコロナ情勢であります。
あの時、新作の封切がストップした映画界を救ったのが、「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ゲド戦記」を、〈一生に一度は映画館でジブリを〉というコピーのもとに連続公開したスタジオジブリでした。コピーは鈴木敏夫プロデューサーのもの? あるいは、「となりのトトロ」「火垂るの墓」以降のジブリ作品を手掛けてきた糸井重里氏によるものでしょうか? 

アニメオタクというわけではなかったけれど、雑誌COMや永島慎二さんが好きな友人がいたこともあり、多少の〈知識〉は有していたと思います。
「風の谷のナウシカ」(1984年)も、前売券を買って新宿東急で見ました。だから私は封切当時と再公開のと、二種類のパンフレットを有しています。鑑賞後もキャラクターポスターを買い求め、部屋に張ったりしてたから、オタクの素養はあったのかも(笑)。
「ナウシカ」は封切時より、公開後に知名度が高まったのは周知のとおり。
私自身もフィルム担いで、何度も学校へ巡業に行きましたね。

 (封切)当時のある日曜早朝、某駅前を歩いてたら、道を探していると思しき女の子のグループに遭遇。もしかして?と思い、「『ナウシカ』見るの?」と声かけたらビンゴ!(駅近なんだけど、知名度の低いホールでの上映会がある日だったので) 今だったらお互いためらうところだけど、私自身若かったし、邪心のかけらもなかったので(笑)。「こういう観客を大切にしなくては」というコメントが、私のノートには残されていました。

 ジブリ作品の中であまり高評価というわけではないけれど、我が家で人気の高いのが、次作の「天空の城ラピュタ」(1986年)です。
 公開当時私は柏の映画館を手伝っており、これが開館第2弾でした。シネコンが常識の今とは違ってワンスクリーンのみだったので、オープニング番組「子猫物語」の大ヒットの煽りを受けて封切より遅れたため、まさに〈待望の〉公開となりました。待ち焦がれたのはお客様だけでなく、スタッフもです。観客の整理と、チャトランに辟易していた嫌いがあったので。だから私はこの映画を思い出すと、当時苦楽を共にした(?)現地のスタッフの顔が浮かんできます。

 余談ながら、我が家の寝室のライトの紐には、ジブリ美術館で買った飛行石がぶら下がっております、ハイ(まだ丸型蛍光灯☺)。

いつもの長いあとがき

 よく、幼児を持つ親御さんから、我が子は「となりのトトロ」のセリフをソラで言えるということを聞きますが、息子もそうで、「ラピュタ」の地味~なセリフまで覚えてて、呆れるやら感心するやら。
 私が好きなのは、オープニングでパズーがシータを受け止める場面。あの浮遊感と重力感。ここで見入ってしまい、あとは物語の世界にどっぷり。

 このあとは、東宝の「となりのトトロ」「火垂るの墓」2本立てを挟んで、次の「魔女の宅急便」までが東映。事情は分かりませんが、東映は金脈を逃してしまいましたね。

 私がこれまで一番映画館で見た回数が多いのは、「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年)です。断トツです。通して見たのは数回ですが、場内チェックの<仕事で>パートによっては、50回ぐらい見てるかもしれません。今は映像と室温、そして盗撮防止が目的ですが、30年ぐらい前までは、それに喫煙防止が加わっていたのです。信じられないでしょう。ただ、好きな映画を仕事中に何回も見られて幸せでした(笑)。
 逆に、同時上映だった「Mr.BOO!ギャンブル大将」での場内チェックは、キツカッタ。ツマンナイんだもの。マ、シゴトデスケド。
 
 今となっては敢えてここで取りあげる必要のない「カリオストロ」ですが、公開当時、本作を認めたのはプロの評論家ではなく、観客でした。
 雑誌ぴあの読者投票<もあテン>というオールタイムのベストテンで、見事ベストワンになったのです。しかも、二年連続で。まさに我が意を得たり!でした。

 この時私自身が何に投票したかは記憶になく、当時のノートを手繰るしかないけど、<ぴあニスト>だった私は、この投票方法が好きでした。自分が勤務する映画館のミニコミ紙で始めたベストテンごっこも、この方法を踏襲して持ち点制としました。お気に入り度を反映できるからです。お金を払って見た方が選んでるんですから、<贔屓>が出るのは当たり前のことです。
 私は、通常のベストテンは<減点法>だと思っています。1位=10点…10位=1点、と下がっていくでしょう。それに比べて<ぴあテン、もあテン>は、1本~5本以内、持ち点15点の配分式。加点法だと思うのです。例えるなら、フィールドがゴム製なのです。この一本だけ!ならまるまる15点、3本とも同じぐらい好きだったらオール5点、というふうに枠はあっても変形するでしょ。

 ついでながら、私はワースト選出というのがキライです。
 まぁこれまたお金を払って見ているからこそ、ヒドイ作品にぶち当たったとき、金返せーと言いたくなるのも分からんではありませんが、褒めてる批評の方が、読んでて気持ちいいでしょ。批評は褒めるが勝ち。これ、持論です。 (沼田)