壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.66

◆アニメ版の「がんばっていきまっしょい」が公開中です。実写版に思い入れのある私は、多分未見のまま終わりそうです。
今回は、同じ四国を舞台にした青春映画の秀作「青春デンデケデケデケ」を取り挙げた3年半前の33号をご紹介します。四国の高校生という共通項よりも、見た劇場が同じ新宿東映ホール(スクリーンは別)ということに深い思い入れがあります。現在の新宿バルトのある地です。

◆『まちポレ壁新聞』最新139号『不意打ち』(10/30発行)は、5階ロビーに掲示中です。
 ※121号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞  №33  2021年5月13日

シリーズ第2弾 平成の遺物

タイトル未定の新しいコラム (その33)

私はどうもSFが苦手です。想像力が貧困なせいか、脳裏にイメージが浮かんでこないのです。
逆に、SFが大好きな友人Sさんは、レーザーディスクが出始めたころに真っ先に購入したソフトが「ターミネーター2」(1991年)でした。
で、満を持してのお披露目鑑賞会が、Sさん宅にて開催されました(30年前ね)。
参加者はSさんご夫妻、Sさんの会社の同僚女性2名、そして私の5名。もちろん全員、劇場にて鑑賞済み(私以外は複数回)です。故に目的は〈画質〉の確認です。
確かに、VHSとは段違いで、この手のビジュアル好きに堪らないのは事実です。ただ、冒頭に記したように私はSFが苦手なのですよ。「スゲェー」という四人の歓喜の輪に加わるのが、ちょっとだけ乗り遅れてしまいました。
本作に限らず、5千円だかを払ってまで、コレクションとしてLDを買おうとは思いませんでしたね。

しかし、たまたま入ったアウトレットの家電量販店でLDコンポが安価で販売されていたため、迷った末に購入。手のひら返しです、はい。

最初に買ったLDソフトは、大林宣彦監督の「青春デンデケデケデケ」(1992年)の中古版です。と同時に、最後に購入した作品でもあります。要するに、これ一枚しか所持していないのです(笑)。しかも、テレビと接続していないまま現在に至るので、30年近く経っても〈未使用品〉(笑)。
コンポ自体は、レコード、カセットテープ、チューナーなど、どれも現役で活躍してくれているのですが、29号で取り上げたカセットテープ以上に、LDは<平成の遺物>となってしまいました。全国チェーンの中古屋さんなどに行っても、あまり見かけないもの。
おそらくはこの先も99.9%未使用のままだろうけど、このソフトを私は一生手放すことはないだろうな。

何だか締めの一言みたいになってしまいましたが、ここまでが枕です(笑)。
他の場所では何度か書いてきた「青春デンデケデケデケ」、壁新聞では満を持しての登場です。

本作に関して書くときの出だしは決まっています。「これは実話である。」です。
原作は、香川県観音寺市の高校生たちがベンチャーズに魅せられ、バンドを組む物語。これをそっくり茨城県の田舎町に置き換えれば、自分の高校時代そのままなのです。練習場所を求めて右往左往し、かといって高校生の交通手段としては自転車しかないから、ギターはともかく、ドラムスを運ぶ少年は「リヤカーで運べばよかったー」と叫びだす。
自分たちの場合は、我が家の物置を親に頼んで使わせてもらい、練習小屋に改装するためにベニヤ板や畳をリヤカーに積んで、みんなで、交通量の少ない早朝の国道を運んだんだから(笑)。演奏の音漏れには気を付けていたけれど、やっぱり近所の人が「何やってんだ?」という感じで、遠巻きに眺めていたし。そうそう、バンド名を決めるエピソードもそのまんま。

映画には、メカに詳しいマネージャー的存在の男子が出てきますが、原作者の芦原すなおさん自身がそうだったらしいですね。私もまさにその立場でした。
それにしても、合田(大森バラケツ嘉之くん)を筆頭に、登場人物たちみんながなんて愛おしいことか。コイツらとだったら一生付き合いたい!そう感じさせます。
原作を読んだ時には確か大林さんによる映画化が決まっていて、センチメンタル過剰とも言えるラストの描写が気になったけれど、むしろ大林監督にはふさわしいかなと思ったものでした。事実そうなりましたよね。

構成上こうなりましたが、これまでで最長のコラムとなりました。それだけ深い愛着のある作品なのです。

短くなったあとがき

この度、封切以来、およそ30年ぶりにDVDで本作と対峙しましたが、大変なことに気が付きました。LDだけでなく、私はこのサントラを持っているはずなのです。ことごとくBGMを覚えていたのです。どこ行ったんだろう? 行方不明。

ところで、その音楽担当の久石譲さん。名前のいわれはクインシー(久石)・ジョーンズ(譲)からきてるんですね。去年桑田佳祐さんの放送を聞いて、初めて知りました(結構有名らしく、妻は知ってた)。

この香川が舞台の「青春デンデケデケデケ」、そして愛媛県松山の「かんばっていきまっしょい」、高知の「祭りの準備」、私にとっては、どれもこれもその年のベストワンクラスで、愛すべき四国三部作と勝手に命名しました。
で、徳島代表がないんだけど…。阿波踊りが背景の映画、何かあったかな?(笑)。

書き出すときには、新宿東映会館についても触れようと思っていましたが、スペースがなくなりました。ただ、ここについては近いうちに必ず。←本気。普段は単なる<穴埋め>なんだけど(笑)。              (沼田)