壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.75

◆146号本文に記したような理由で、ちょっと間が空いた壁新聞。それでも2/23発行にこだわったのは67号で触れた理由からですが、こちらはすでに電子版29号として発行しているので、今回はパンフレットについて記した、割と新しめ昨年5月発行131号を取りあげます

現在4階ロビーには、「天国の日々」の初公開時のパンフレット(42年前!「Cinema square Magazine」№13)を掲示中です。

 

◆『まちポレ壁新聞』最新146号『夢の宅配便ふたたび』(2/23発行)は、5階ロビーに掲示中です。

※121号以降のバックナンバーのファイルもあります。

 

まちポレ壁新聞  №131 2024年5月5日

映画のマジック

駅前純情シネマ その25

ゲストが登壇しての舞台挨拶があるときは、マジックが必需品となります。掲示用ポスターはもちろん、お客様が購入したパンフレットにサインをしていただくためです。

ところが、先日の小林且弥監督が登壇した「水平線」のパンフレットは、表も裏もほぼ真っ黒。サインしにくいだろうなぁと思っていたら、購入されたお客様自身が中面の監督プロフィルページに白い余白があるのを発見して、そこにサインしてもらっていました。グッジョブです。

ちなみに、同行した配給会社の担当者は、ちゃんと銀色のマジックを用意していて、さすが! これなら表紙でも大丈夫。

そういえばインド映画のイベントの時も、金色のマジックを用意されていた方がいてびっくりしました。こちらも黒地がメインの「RRRをめぐる対話」にサインしていただくためでした。まったくもって、ファンはきめが細かいワ。

 

最近のパンフレットは、デザインが非常に凝っていて、アートとしてそれは見事なのですが、コレクションはしにくいだろうなぁと余計な心配をしてしまいます。おー昔は、A4変型判のほぼ一種類。私は定番の?カラーボックスを横にして収納していました(今もそのまま)。

で、松竹系のだけ、横(奥行)が1㎝ぐらい長くてちょっと出っ張るのです。逆に言うと探しやすいというメリットもありました。私の個人的な印象としては、松竹系のは50円ぐらい高い、写真が多い→その分文章量が少ないから物足りないという気がしていました。

仕事柄、業界向けのプレスシートが納品されることがありますが、時々パンフレットも同内容のものがあって、「販売用が一緒かよ」とガッカリすることも。

 

すべてのパンフレットを把握していたわけではないけれど、規格統一だったサイズが変わったのは「マトリックス」の時でしたね。バカでかいB4変型判になったのです。自分が持っているのでは他に、「七人の侍」のリバイバルの時がそうでした。黒澤明監督の過去作を網羅した内容で。

このサイズは個人的には歓迎しません。カサ張るので、収納もラックの一番端っこにしか置けないし(笑)

近作の「PERFECT DAYS」は、表紙に『PERFECT DAY』という文字がたゆたゆような感じでいくつも並んでいて、日常の積み重ねが「DAYS」になるということを暗示していて秀逸でしたが、背表紙はもちろん「PERFECT DAYS」となっています。そうです、この作品のパンフレットは背表紙があるのです! つまり、それだけの厚さがあるということです。

中をめくると最初のページが透かし状になっていて、次ページにある「PERFECT DAYS」というタイトルが、映画そのままに、木立の間、木漏れ陽から浮かび上がるという秀逸なものでした。

 

いつもの長いあとがき

 

最近のパンフレットには、作品のエンドクレジットがそのまま掲載されていることがよくあります。「PERFECT DAYS」もしかり。これはありがたい。資料的価値があるからです。後年調べるときに役立ちます。

 

そうは言っても、近頃のパンフレットは値が張ります。「PERFECT DAYS」に至っては、1,100円もします。内容もあり、紙質も凝っているのは認めますが、まちポレの場合だと入場料金よりも高くなりかねませんから。

かつては、入場料金の三分の一ぐらいが相場じゃなかったかなぁ? 600円のパンフレットが登場したときは「えっ、高っ」と思ったものでしたが、今や880円から1,100円が平均価格帯のようです。

例えば、背表紙のあるのはそれだけ豪華には違いないのですが、紙質には目を瞑るから、値段を下げてほしいと思います。せっかく映画を深掘りしたいと思っても、入場料金並みではついで買いもままなりません(私が持っているのでは、「母べえ」も背表紙入りでした)。

 

前述したようにサイズもバラエティ富んでいますが、ミニシアターがブームになったときに、それぞれの劇場単位でパンフレットが作られました。ただ、大きさはほとんどB5サイズでしたね。これはコレクション(収納)しやすく楽でしたよ。その劇場ごとに通しナンバーも入っていたし。

それと、採録シナリオの掲載もよくあります。個人的には写真よりも文字情報を多くしてほしいので、こちらの方に価値観を感じます。

ただ、B判というのは収まりがいい分、手に持って歩くということが少なくて、「歩く広告」的価値は減りましたね。もっとも、シネコンだと歩くという行為自体がほぼないか。モールの駐車場に停めたら、敷地から出ることはありませんから。

 

映画の公開はまだ先なので、そのパンフレットをうかがい知ることは出来ませんが、「関心領域」のポスターには、ゾッとしたコワさを感じました。デザインの上半分以上が真っ黒なのです。これだけでもアウシュビッツ強制収容所の隣ということを暗示させて見事です。しかも、構図の下側には、緑の芝生の上で日常を営む人たちがいるのです。平和の象徴であろうグリーンとの色の対比が秀逸です。

カンヌでグランプリを受賞し、アカデミー賞でも「PERFECT DAYS」を寄せ付けず国際長編映画賞を受賞したのですから、期待感しかありません。

まちポレは6月28日公開か。またまだ先だな。        (沼田)