壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.65

◆第1作『First Blood』から42年。シルベスター・スタローンの代表作の一つ、「ランボー」のpart1から3までが連続公開されます。それを記念して、アクションスター、スタローンをからかっているように見えて、称えた3年半前の27号をご紹介します。実は私、このシリーズ4作を1本も見ていないのです(他の作品はほぼ見ています)。お詫びと懺悔の意味も込めて改めてお届けします。

◆『まちポレ壁新聞』最新138号『連打!連打!』(10/12発行)は、5階ロビーに掲示中です。
 ※121号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞 №27  2021年4月10日

スタローンだもの

タイトル未定の新しいコラム (その27)

※4月上旬、BSで「クリフハンガー」が放映されました。妻と一緒に、「死んでるよー」「半袖―」「スタローンだもの」などと掛け合いをしながら、スリル満点の「連続活劇」(タイトルにはそういう意味もあるそうですね)をノンビリと鑑賞しました(笑)。それを記念して(?)、去年の6月下旬に書いたまま「お蔵入り」していた原稿が、ちょうど10ヶ月経って産声をあげることに。難産でしたね☺
                 ◇
予想通り好成績を収めている「ランボー/ラスト・ブラッド」。口の悪い私は、「腐ってもスタローン」と讃えております。いえ、褒めてるんですよ(笑)。スタローン自身が73歳だかで、主人公のランボーもそれと1歳違いの設定らしいのですが、見に来るお客様も、それに近いシニア層が圧倒的多数を占めています。第1作を見た時に20~30代だった方々ですね。
確か、第2作「怒りの脱出」には「ナイフデザイン」というクレジットがあり、へー、そこまで名前出るんだと感心した記憶があります。今回はかなりグロいらしく、そのナイフやボーガンがらみのアクションがR15指定になった所以でしょうか。

そんなアクション一辺倒のスタローンですが、「ロッキー」「エクスペンダブルズ」といったヒットシリーズだけでなく、文部省(現文科省)選定の《感動作》があるのをご存知でしょうか?
それが「オーバー・ザ・トップ」というアームレスリングを題材に、親子の絆を描いた作品です。1987年の作品だから、「ロッキーⅣ」と「ランボー/怒りのアフガン」にはさまれた、まさに人気絶頂期にあたりますね。

スタローンは共同でシナリオも書いているのですが、「ロッキー」における恋人エイドリアンを息子に変え、老トレーナーの代わりに父親を配し、無敗の最強王者に戦いを挑むのがクライマックス。シノプシスは、まんま「ロッキー」であります。
非常に分かりやすい単純明快なストーリー展開に加え、F1のテーマでおなじみ、ロビン・ザンダー「♪イン・ディス・カントリー」を巧みに使って盛り上げます。それ故に当時、ある中学校の予餞会で上映した際は、クライマックスで拍手が湧き起こったほどです。巣立ってゆく卒業生たちへの、いい手向けになったかな。

ところがこの作品、スペースが限られた場合だと、全くリストアップされないのです。スタローン全フィルモグラフィーで初めて紹介されるという始末。娯楽映画としての出来は及第点だったと思うのですが、もしかして、文部省のお墨付きが、逆にアクションスターにとっては《足かせ》だったりして(笑)。(注/実は、文部省推薦かどうかきちんとウラを取っておらず、記憶で書いてます。ただ、割引券配布で学校回りした記憶はあるから、多分、そうだと…)

公開当時ローカルでは、FOX配給のオーストラリア映画「クロコダイル・ダンディー」と二本立てで封切られました。なかなかのカップリングですよね。実際、興行的にも健闘しました。

いつもより短めのあとがき

週一以上のハイペースだった先月に比べ、ちょっと間が空きました。
毎号《付き合い》で読まされている友人は、よくそんなにポンポン次から次へ…と呆れ返っていたけれど、ただ単に「そういえば」の繰り返しを書いてるにすぎません。これをちょっと高尚な文学的表現に変えると、《記憶の連鎖》になりますか。あるいは角度を変えて身も蓋もない言い方にすると、「重箱の隅をつついている」から。うーん、これが一番適切かも(笑)。
                   ◇
ここからは、《書き下ろし》になります。

前段をプリントアウトした原稿の最後に、「松竹富士」「勝利への脱出」と記したメモが残されていました。そっか、この後の展開は、そっちへ持っていこうとしてたのかと記憶が甦りました。

初期のスタローンに、もう一本「勝利への脱出」(1981年)というよく出来た娯楽映画があります。
第二次大戦中、プロパガンダとして組まれたドイツ軍対捕虜となっている連合軍のサッカーの試合。逆に、連合軍はそれを利用した脱走計画を企てて…というストーリー。
実話をベースにしているし、サッカーの試合のシーンも、ペレを筆頭にワールドカップ経験者が多数出ているので見ごたえがあり、興ざめすることはありません。興行的にもヒットしたのに、これまた前出の「オーバー・ザ・トップ」同様、あまり紹介されないんだよなぁ。監督は、巨匠ジョン・ヒューストン。スタローン以外にもペレをはじめ、マイケル・ケイン、マックス・フォン・シドーといった名優が脇を固めているのに……。
それ故に、却って「クリフハンガー」よりも判官贔屓したくなる作品ではあります。

そして、この作品を配給したのが、今はなき松竹富士という会社。これについてはわずか数行で片付けるわけにはいかないので、またの機会に。 (沼田)