◆この壁新聞では、作品の批評めいたことはあまり書いていません。そういったことはプロの書き手にお任せすればいいので。その代わり、友人知人やお客様がちょくちょく登場します。そういった人たちとの会話を話のつぎ穂として書き出すと、あっという間にA4サイズ2枚2,100字になってしまいます。
今回は、そんな5ヶ月前の「よくある身の回り映画館日記」です。
まちポレ壁新聞№89 2022年10月16日
Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.54)
よくある話
妻がママ友たちと三人で映画を見に出かけました。一緒に行くのは「トイ・ストーリー4」以来とのこと。←2019年7月公開ですよ(笑)。
まず、「混んでるから早くいい席取らなくちゃ」と有人カウンターへ。ところが、タイトルを告げようとしても咄嗟に出てこなくて、挙句の果ては「沈黙の要塞、じゃなくて戦艦」と友人が口走ってしまったそう。「オイオイ、それじゃセガールだろ」とツッコミを入れた妻(笑)。
すかさずスタッフが助け舟を出したのかどうかは定かではないけれど、何とか「沈黙のパレード」にたどり着きました。ホッ。
ひと安心したのも束の間、今度は座席を選ぼうとした妻がスタッフへ「8、9、10お願いします」→「○○(妻の名前)、みんな8、9、10だよ」。恐らく、対応したスタッフも同様に「列のアルファベットもお願いします」と心で呟いたに違いありません(笑)。「Eの8、9、10お願いします」。やれやれ(笑)。
ドリンクを購入して、何とかゲートへたどり着くも、今度は最奥のスクリーン6までが遠い。「おトイレ行きたくなったらどうしよう」と、これは友人二人。
ドタバタしたけど、何はともあれ映画には満足して帰路についたそうでメデタシメデタシ。
ちなみに場内の混み具合はというと、公開から1ヶ月近く経った平日のレイトですからね、他に数組だけという入りでした。そうと分かっていたら、こんな失敗(か?)も生じなかった?
タイトルがうろ覚えで出てこないというのは、何も妻たちのグループに限ったことではなく、割と多くいらっしゃいます。「タイトルが分からなかったら、出演者やストーリーでもいいのですが」と返すのですが、後ずさりしてサイネージのボードを眺めたり、スマホをスクロールして確認したり、結構〈ドラマ〉があります(笑)。
今一番ソレが多いのは、「僕が愛したすべての君へ」と「君を愛したひとりの僕へ」の表裏一体アニメの2本。若い人でもです(いや、若者しか来てないか)。この場合はおそらく〈確認〉の意味なのでしょうけど。ただ、私自身もこのアニメには疎いので、タイトルと時間を再確認します。
一方的にお客様側のことを語っていますが、私自身も人のことをとやかく言えたギリじゃありません。
9月上旬の日曜日、何度聞いても聞き取れないタイトルがありました。失礼とは思いながらも何度かもう一度お願いしますと言い直していただきましたが、「シャッカー」としか聞こえないのです。「仮面ライダー」は終わったし、それならショッカーだよなと内心でボケをかましていたら、隣のスタッフが「百花」です、と助け舟を出してくれました。あ、なーるほど。それまで、この映画の話題が自分の回りの会話には出てこず、初めてだったのです。「よし、分った」という加藤武さんの心境でしたよ。
このところまちポレで目に見えて増えてきているのが、ハシゴをしてくださるお客様です。初回にレシート(チケット)を「どれか分かんないから見て」とまとめて差し出してくださいます。相対する私も「老眼で見えにくいんです」(苦笑)。時間を組むときに、続けて見られるようにだけは気を付けているので、ありがたい限りです。
いつもの長いあとがき
何号か前に書いた「サバカン」も、実はこの類いの間違いをしました。行ったらやってなかったのです。正確に言うと、「自分が調べた時間に」ですが。ちょうど金曜日だったので、昨日までの時間だったのか?とサイネージを眺めると、「さかなのこ」が開映間近を知らせる点滅表示になっています。どうやら、サバとサカナを間違ったようです(笑)。同じサ行で魚関係。ま、間違うのもむベなるかな(笑)。よくあるオハナシでありました。←ナイナイと妻が。
時間ならまだしも、危うく日付を間違いかけたのは、いわきPITの感謝の会。
連休の二日目だったので事なきを得ましたが。
その日は倍賞千恵子さんのミニコンサートがあったのです。
パートナーの小六禮次郎のピアノ演奏により(旧豊間中の卒業式で演奏され、津波から甦った「奇跡のピアノ」です)「下町の太陽」を皮切りに、「PLAN75」の劇中、カラオケで歌って以来大切にしているという「林檎の木の下で」、デビューのいきさつや山田洋次監督とのエピソードを交えて、朗読から「さくらのバラード」「ラストダンスは私に」、森繁さんとの思い出を絡ませながら「サンライズ・サンセット」、ラストは、さだまさしさんの曲の中から大好きだという「しあわせについて」をご夫婦でデュエット。予定時間を10分オーバーして披露してくれた全6曲のステージでした。
個人的にはやはり、6月に上映した「PLAN75」の映像が甦るだけでなく、おおたか静流さんのことも思い出してしまった「林檎の木の下で」が白眉でした。それにしても倍賞さん、81歳とは思えない伸びやかな歌声には驚嘆しました。
お二人は乾杯の音頭の時にも再び登壇してくれて、そのあとは客席に降りてきて着席し、関係者の皆さんと歓談されていました。
私にとっては、40年ぐらい前に大船撮影所でツーショットを撮っていただいて以来の(一方的な)再会となる、至福の夜となりました。 (沼田)