壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.9

◆始まりの四月。弊社にもニューフェイスが加わりました。それで、新たにスペアキーを作らなくてはということになって思い出したのが、2年近く前の49号です。前売券と前売特典についてしたためた昔のハナシです。

まちポレ壁新聞№49   2021年7月29日

主客転倒

Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.14)

先日、遅番にもかかわらず事務所のカギを忘れてしまい、会社のスペアキーを借りることになった。キープレートしか付いてないから失くしたら大変と、キーホルダーの類いを探したが見つからない。

ひと昔前だったら考えられないことです。理由は単純。前売特典に付いたストラップやキーチェーンが、必ずや引出しのどこかには眠っていたからです。スマホになってストラップは必要なくなり、趣向を凝らした特典もソレ目当てでムビチケを買い求めるという本末転倒のことから、アイドル物だとほとんど即日完売状態、特典自体も返却しなくてはいけなかったりで、モノが残っていないのです。

以前、前売券というのは日本独自の慣習というのを聞いたことがあるのですが、どうなのでしょうか?

これを調べるのは相当な労力と時間がかかりそうです。フィルムセンター(現国立映画アーカイブ)では映画しか見たことないんだけど、当然こういったチケットやチラシ、パンフレットなどの展示もあるのでしょうね。

30年ぐらい前までは、前売券にはそれなりのメリットがあったと思います。

劇場側にとっては、①売れ行きから興行の指針となる。➁プレイガイドに預券するので、上映案内や告知できる(同時にこれは観客にとってもプラス)。

観客側にしてみると、①数百円割引で鑑賞できる。➁作品によっては特典が付くことがある。➂半券のコレクションができる。

デメリットとしては、急な変更、例えば打ち切りや上映時間・会場などの変更に対応しきれないため、トラブルの元となる。

こんなところでしょうか?  最後の➂は私のようなコレクターのみで、割安で見たら終わりという人にとってはカンケーないか(笑)。

前売券は、基本的に一般料金を対象とした料金設定ですが、学生券、ペア券、アニメなどの場合は小人券、親子券などと後追いで広がっていきました。

しかし、シネコンの普及に伴い(30年前と書いたのは、シネコン以前ということです)、サービスデーや割引料金の導入などが増えるのに比例して売れ行きは右肩下がりとなり、今では学生券やペア券はほとんど姿を消しました。

それでも、前売券の売り出し告知というのは興行側にとって宣伝効果はあるし、ニュースにもなるので、あの手この手と『特典』に知恵を絞るようになったわけです。

例えば、<泣き>が売りの映画だとハンカチを付けたり、他によくあったのはポストカード、缶バッジ、メモ帳など。所詮はグリコのオマケなので、他愛のないものがほとんどです。「SW」などシリーズものだと、旧作のチラシセットもありました。「名探偵コナン」はずっとクリアファイルですね。中には「バタリアン」の卵、「霊幻道士」の魔除け札、ジグソーパズル、岩塩などという、<ほとんど遊び>のようなモノもあって、こーゆーのは東宝東和やヘラルドの得意分野でした(笑)。

そうそう、以前書いたようにレアものとして「愛と青春の旅だち」では、アメリカ版の予告編が収録されたソノシートというのもありました。詳細は忘れたけど、森田芳光監督のメジャーデビュー作「の・ようなもの」は落語が背景の映画ということもあり、5円の返金がありました(「ご縁」がありますようにということですね←入場時の<返金>だったかも!?)。

いつもの長いあとがき

今嘆かわしいのは、初めから転売目的で購入する不貞の輩がいることです。ファン心理につけ込み、あるいは逆撫でするような転売という行為に走るわけです。

この稿を書くためにメルカリを初めて開いて見たのですが、前売特典のグッズは1,500円から1,900円でかなりの数が出品されています。この金額設定は要するに、イコール前売料金、または当日の入場料金分ということですよ。このことからして、もともと映画見る気がないのは明らか。チケットも別口で転売してそう。全くもう!!

私自身もコレクターではありますが、集めているというより「残す」という意識が強いので、もし自分よりも大切にしてくれる方がいて、その方が欲しているのならあっさりと上げてしまいます。例えば、チャールズ・ブロンソン物などがそうです。いるんですよ、奇特なファンが(笑)。

今では紙の前売券はほとんどなくなり、昔のテレカのようなムビチケが取って代わりました。これがいいのは、予約ができることです。加えてほぼ原形で残るので、コレクションもできるし。

前売特典ではないのですが、昔は年に2回は必ずあった半年分のポケットカレンダーも、いつの間にか姿を消していました。割引券も兼ねていたし、私自身もお財布やパスケースに入れて結構重宝してたんですけどね。

最後に、どうでもイイこと二題。

➀、「前売り券」と書くのが正しいはずなのに、どうして「前売券」と表記するのだろう?

➁、小学生・中学生を、どうして「小人」と書くのだろう?(公共交通機関もそうかな?)                        (沼田)