◆普段から映画(作品)自体よりも、その回りについて書くことが多い壁新聞。今回は、見出し通りさらにそのまた回りの、どちらかというと映画以外のことについて書いた2年前のものをご紹介いたします。ま、映画って総合芸術だしね。
まちポレ壁新聞 №48 2021年7月22日
映画から離れて
Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.13)
トートツですが、友人に貸したまま返ってこない物ってないですか?
代表的な物といえそうなのが、本とCD、DVDといった類ではないでしょうか?
以前「青春デンデケデケデケ」について書いた時、BGMを覚えているからサントラがあったはず…と書きましたが、いまだに見つかっていません。それとも、誰かに貸した記憶自体がないから、一度しか見ていないのに音楽を覚えていたのか!? 普段の記憶力から言ってこれはあり得ない(笑)。もう一つ考えられるのは、大林宣彦監督フリークの友人が貸してくれたのか? ただ、その友人はレコードプレーヤーがないので、それもあり得ない。果たして真実はいかに?
レコードで貸したままになっているのは、センチメンタル・シティ・ロマンスのアルバム「DANCING」。貸した相手も覚えています。その後CD時代になってレコードを聴く機会が減ったし、カセットテープには録ってあるから聴こうと思えば聴けるので不自由はしていないのですが、惜しいのはあのポップなアルバムジャケットを拝めないこと。センチの前作「SMILING」では、ジャケットをプリントしたオリジナルトレーナーを作ったほど(若かったからね)。
数年前にメンバーの一人が、Bar Queenのライブに来た時には終演後に訪ねて、20周年記念のライブアルバムにサインしてもらっちゃいました。
ここ数年音楽界は、松本隆さんや亡くなった筒美京平さんのトリビュート関連が盛んですが、センチのアルバム「はっぴいえんど」は『オリジナル以上にオリジナル』と、私は最大限の賛辞を贈っています。
間もなく結成50周年。シティポップスのダークダックスだ(笑)。
CDでは、エルトン・ジョンの「デュエット・ソングス」が行方不明。東日本大震災のチャリティで企画されたアルバム「SONGS FOR JAPAN」をよく車中で流すのですが、こちらにも収録された「僕の瞳に小さな太陽」が流れるたびに、このアルバムでのジョージ・マイケルとのデュエットを思い出します。名曲揃いとはいえ、また改めて買うというのも癪だしなぁ…。
DVDに関しては、捜索願いが出ているものはないです。これは多分、DVDで映画を見るという習慣があまりないので、ストックそのものが少ないからかもしれません。
貸したままの本というのも多分ありませんが、本を貰ったことがあります。
学生の時、映画館のアルバイトでオールナイトのスタッフが足りないということで、同い年でその映画館で働いていた人の家に泊めてもらって請け負うことになりました。彼の部屋の本棚には、沢木耕太郎さんの「敗れざる者たち」の文庫本が何故か二冊あって、その一つを頂いたのです。それがきっかけで、沢木さんの本は20冊ぐらい読んだかな。
その<恩人>とは40年来の付き合いとなり、今では例の高座(注/市民講座のこと)仲間であります(笑)。
いつもの長いあとがき
男女を問わず、友人の部屋に初めて入るとき、その人の本棚やラックって気になりますよね。趣味=その人の頭の中みたいなものだし。
「花束みたいな恋をした」で、麦くんの部屋を初めて訪れた絹ちゃんが真っ先に駆け寄ったのが本棚でした。そこから、趣味が合うって感じで話が盛り上がるという素敵な場面でした。
前任地で私の元上司だった方は若くして亡くなってしまったのですが、生前何度もお邪魔していたし、これまたオールナイトのバイトの時に泊めて頂いたりしていたので、今でもたまに訪ねています。小林信彦さんの「われわれはなぜ映画館にいるのか」「東京のロビンソン・クルーソー」だったり、あるいは中原弓彦名義の単行本、植草甚一さんの書物といった神保町クラスがずらり並んだ書棚を眺めていると、「好きなの持ってっていいわよ。主人も沼田さんなら本望だろうから」と奥様は言ってくださるのですが、「それこそ全部欲しいぐらいぐらいですが、眺めているだけでも充分満足です」と固辞しております。
そういえば先の高座(注/講座)仲間は私を含め四人いるのですが、自分が死んだら、それぞれのコレクションを上げる、貰うなどいう会話をしております(笑)。
去年の自粛中なんて、コレクションの整理に随分と時間が掛かったっけ。断捨離とは違いますよ。基本的に「全部残す」んだから(笑)。妻の白目が怖い(笑)。
我が家の本棚に目を転じてみると、一年前の引っ越しでゴチャゴチャ状態。平積みだったものは小分けして実家に運んだので、大分量は減ったけど。
先の友人同様、ウチにも同じ本がいくつかあります。向田邦子さんのエッセイや宮部みゆきさんなどがそう。特に二人とも好きな「火車」に至っては、私が買った単行本と文庫、妻の文庫と3冊も(笑)。
こんなふうに好みがシンクロする部分も稀にあるのですが、もし自分たちを知っている友人を部屋に招き入れて、「この本はどっちのだと思う?」と聞いたら面白いかも。
さて、図書カードという思いもよらぬ頂き物があり、和楽器バンドのCDを買おうと思っているのですが、何と、アリオスでライブがあるのですね。妻は興味なさそうだし、どうしようかな!? (沼田)