壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.33

◆先日、地下のまちポレいわきB1プラスで2日連続行われた竹原ピストルさんのライブは、チケットがあっという間に完売するという人気ぶりでした。リハーサルが終わりお寛ぎ中のところにお邪魔してサインをおねだりしたら、快く応じてくれました。ピストルさんが好演を見せた「658㎞、陽子の旅」は生憎数日前に終了したばかり。この日のライブを失念していなかったら、もう1週間延長して、あわよくば舞台挨拶をお願いできたかもと思わせてくれる温かいお人柄で、一気にファンになりました。そんなこともあって今回は、ピストルさんも出演したご当地ムービーに触れた46号をご紹介します。

◆『まちポレ壁新聞』最新119号『ほとばしる熱量』は、5階ロビーに掲示中です。
 ※101号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞 №46  2021年7月11日

手を変え、品を変え、

Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.11)

 よく、小説やエッセイの発刊に際して『雑誌〇号から△号に掲載したものに加筆修正しました』といったものが見受けられますよね。映画にしても、再公開に当たり「ディレクターズカット版」や本国公開の「完全版」だとか。

 それに模するわけではないのですが、「浜の朝日の嘘つきどもと」の公開に当たって配給会社が行った『わたしの二本立てキャンペーン』に投稿した原稿は、手短にするために贅肉をそぎ落とし約670字という、壁新聞の三分の一の短さ、更にヨソ行き化粧を施したものだったので、それをいつものような壁新聞版にアレンジしてお届けしたいと思います。言ってみれば、こちらの方が<通常版>ですね(笑)。

 駅前のミニシアターへの移行に伴って始めたこの『まちポレ壁新聞』、2018年の9月からなので、作り始めてかれこれ三年が過ぎようとしています。

 記念すべき(いや、しないか笑)創刊号で取り挙げた映画が「まぼろしの市街戦」でした。1966年の製作(翌年日本公開)からおよそ半世紀の時を経て「4K修復版」としてリバイバル公開されると知って、久しぶりに東京まで見に行きたいと思ったものです。もちろん自分のところで上映出来ればそれがベストなのですが、ちょっと興行的にはハードルが高そうなので…。結果どちらも叶わなかったから、せめて妄想の中だけでも再映したいと思います。

 紅一点的出演のジュヌビエーブ・ビジョルド、コクリコ役の彼女がとにかくキュート! 男ならだれでも虜になってしまうのでは? この、舌を噛みそうな名前でなかったら、日本でももっと人気が出たと思うんだけどな。
 他には、「パリの大泥棒」などベルモンドとのコンビ作、「1000日のアン」「トロイアの女」(これは未見)などの歴史もの、「続・男と女」など。個人的には、デ・パルマ監督の「愛のメモリー」がまぁまぁ面白かったかな。
 どちらかと言うとベルモンドや、未見ですが「カリブの嵐」のロバート・ショウなど、いかつい俳優さんとのコンビがお似合いの気がします。

 同時上映として選ぶなら、やはり「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」ですね。
 この作品の紹介記事を見たとき、瞬時に「まぼろしの市街戦」を連想しましたもの。そう感じたのはおそらく私だけではないはず(…と思うのですが、そういった論評は目にしていません)。

 ただ実際に作品は未見のままなので、全くの見当違いということも考えられます。そん時は大久保佳代子さん扮する田中茉莉子先生にご登場願って、一席クレームをぶってもらいましょう(笑)。←ほら、この辺は企画した配給会社への忖度が見え見えでしょ(笑)。
  

いつもの長いあとがき

 投稿した二本立ては、ウケ狙いで、そして大久保さんを登場させるために(笑)意識的にひねくれたカップリングにしてみましたが、<正統派>でいくとすれば、やはり創刊号で引き合いに出した「冒険者たち」(1967年)と組むのが、年代的にもスタンダードと言えるかもしれませんね。<永遠のヒロイン特集>といったテーマで。

 この号を書いてるときに初めて知ったことがあります。
 「冒険者たち」のクレジットに原作=ジョゼ・ジョバンニという名前があります。ん?映画監督の? 調べたらその通り。罪を犯し何度も収監され、その経験を生かして小説家としてデビューし、のちに映画監督や脚本家になったのですね。暗黒街の作品や陰のある主人公が多いのはそういうわけだったのか。

 <2本立て>という趣旨には反するのですが、何とかして上映出来たらと考えているのが「銀河鉄道の夜」(1985年)です。前任地で常連だったお客様が大好きな映画という、超個人的な理由からです。この映画がきっかけで30年近い長い付き合いとなりました。その方の為の一夜限りの上映会、やってみたいですね。そう、昔あった「とんねるずのハンマープライス」での、「貸し切り上映会の権利」のプレゼントみたいなものです。←確か、戸田奈津子さんの通訳付きで貸し切りというのがあったような……

 上記のことを<本人>に伝えたら、『一人きりで見るのは素敵すぎる。でも、いまだにファンが多い作品で、他の人にも見てほしいから普通にも上映してほしい複雑な気持ち』という返信がありました。

 どの劇場やホールでも、貸館は通常数万円から受け付けていると思うのですが、よく、『ウチは千数百円で<貸切>ができます』とブラックジョークを飛ばしたりします。つまり、その上映回に<本人>しか観客がいなくて、<結果的に貸切>という自虐ネタです。
 以前書いた通り、仕事柄ソレは出来ないので過去に一度もなかったのですが、ヨソ様で見た「花束みたいな恋をした」がそうでした。上映前の居心地は悪いし、<共有する>という映画館ならでは体験ができないから、私は歓迎しないな。

 前出のジョバンニ監督の件は<書き下ろし>なのですが、偶然にも「銀河鉄道の夜」への見事な前振り(主人公の名前)となりましたね(笑)。    (沼田)