◆当館では12/20公開となる「大きな家」。企画・プロデュースに当たったのは、俳優の斎藤工さん。配給会社から本作のサイン入りポスターが送られてきたので、現在館内に掲示しております。斎藤さんは普段から、移動映画にも熱心に取り組んでいます。そういえば、それに触れたことがあったなと思いだしたのが、3年半前の34号です。
◆『まちポレ壁新聞』最新139号『不意打ち』(10/30発行)は、5階ロビーに掲示中です。
※121号以降のバックナンバーのファイルもあります。
まちポレ壁新聞 №34 2021年5月20日
映画を浴びる
タイトル未定の新しいコラム (その34)
家庭の事情により毎週、実家のある茨城といわきを往復する日々が続いています。片道2時間弱の道のりを好きなCDや時にはラジオを聴きながら運転しているときが、恰好の原稿のプランニングタイム。いや、別にプロの書き手ではないので、四六時中構想を練っているわけではないけれど、何かのハズミに、パッと冒頭のフレーズが浮かんできて…。そうなると、そういえばそういえば…の繰り返しとなるわけです。
このところ(に限らないか?)ずっと古い映画のことばかり取り挙げていて、平均すると、およそ何年ぐらい前のことを書いてるんだろう? 少なくとも2000年以降の作品については書いていないから、30年ぐらい前にはなりそう(笑)。かつて妻から、「知らない映画ばかり」と言われたフレーズが甦ってくる。あ、唯一「野球少女」があった。でも、あの映画を知っている人自体が、ごくごく一部だった(笑)。
そういうわけで今回は、敢えてバリバリの最新作「花束みたいな恋をした」にスポットを当てようと思います。
予想以上の大ヒットになった本作、私は封切から3ヵ月過ぎようかという頃、やっと見ました。なるほど、よくできた作りで、見た後に語りたくなる作品だなぁというのが第一印象でした。だからリピーターが多く、これだけのヒットに繋がったのでしょうね。配給も手を変え品を変え、様々なリピーター対策を行ってきました。SNSを駆使したり、週替わりの入場者プレゼントを用意したりといった具合で。
ハードユーザーで成り立っている興行界ではありますが、でも本当は100人が3回見るより、300人が一回見た方がいいんですよ。口コミだって広がるし。「裾野」は、広い方がいいに決まっています。
内容についてこの短いスペースで、どこまで触れて(紹介して)いいかというのがあるのですが、冷静に考えると、あのファーストシーンの麦くんの言動は、あり得ないのではないか?という疑問がわきました。そうすると、この物語自体が成立しなくなってしまうのですが。せっかくの大ヒットに水を差すようで申し訳ないけれど。でも、それを感じさせない脚本の巧みさは、称賛に値しますね。また、役者が豪華なんだよね。あれ、宇野祥平さんじゃないの!ぐらいのチョイ役で出てくるし。
恒例の<どうでもいいこと>。2人がわざわざ新幹線で行くハンバーグレストラン、もしかしてあの「さわやか」じゃない?と思って調べたら、そうでした。この店があるから静岡に住みたい、と言われるほどの名店。ますます混んじゃうんじゃないの。各店舗に「花束みたいな恋をした」のポスターが貼られているのかな? 一番近くても御殿場? 一生行けない(笑)。
いつもの長いあとがき
数年前、地元紙に映画コラムの連載を持った時、その初回に取り挙げたのが「午前十時の映画祭」でした。
その最後のフレーズとして使った言葉が、「私が映画を〈浴びる〉ように見ていた黄金時代の作品に触れてほしい」といった内容でした。
なんと斎藤工さんが、「週刊文春CINEMA」という4月26日に刊行されたムック本の中で、私と同じ表現を用いて、映画について語っていたのでビックリ! この冊子は、ミニシアターにスポットを当てた特集号で、東宝をはじめ、松竹、ディズニー、ワーナーなど大手の作品が全く載っていない珍しい、いや、稀有な雑誌です。
そのフロントページが斎藤工さんの記事でした。
斎藤さんは俳優業の傍ら、コロナ禍で苦しむミニシアターの支援プロジェクトに参加していますが、同時に自ら<映画の配達人>となって、あちこちに出向いてもいます。その移動映画は『cinema bird』という憎いネーミング。巧いなぁ。同時に、<志>をも感じさせますよね。
妻が彼のファンで、「たくみ~」とウットリするのを尻目に、ただのイケメンではない彼の今後に、要注目です!
この原稿を書いている5月3日、仕事から帰宅してBSをチェック。お、「トレマーズ」(1990年)やってんじゃん。B級名画の誉れ高い(と言われている。未見)パニック映画をBGM(←movie)に流しながらの夕食。
連休だし、他にも何か…と番組表を見ると、それが終わった21時からはNHKで「バック・トゥ・ザ・フューチャーpart3」。
ちょっと待って! これって、ローカルは2本立てじゃなかったっけ!?→調べた。そうでした。スゴイ遊び心。こんな偶然なんてありえないから、後発の番組担当者が、狙ったんじゃないの。それを見抜いた自分も褒めたい(笑)。
さて、前出の「午前十時の映画祭」が復活し、四月より開催中です。リニューアルされての再開は「規制」が緩くなり、「十時前後の映画祭」で、料金も各館ごとに決められるそうです。観客側にとっては不自由ではありますが、館側にとっては終了時間も正直、ネックになるんです。
肝心のセレクトですが、「何度見ても凄い」というサブタイトルにふさわしいかというと、ちょっと疑問符が。よく言えば<個性的>ではありますが。 (沼田)