壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.10

◆映画館のお楽しみと言えば、予告編。なのにそれを見ない私が、予告編について書いたのが2年近く前の43号。発行当時、プリントしたらやけに黒いなぁと思ったのもさもありなん。文字サイズを間違えていたのでした。結果的に、壁新聞紙上(史上笑)最長の2,450文字になってしまいました。

まちポレ壁新聞№43  2021年6月18日

予告の報告

Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.8)

 社会現象となる大ヒットを記録した「ボヘミアン・ラプソディ」(2018年)が、「金曜ロードショー」の35周年記念作品として、6月4日に地上波初放映されました。35年ということは、逆算すると1986年にスタートしたということ? でも、自分が子供のころから水野晴郎さんの解説が付いて放送していたからそんなわけないよなぁ?と思ったのですが、前身の「水曜ロードショー」時代は含めず、純粋に金曜に移行してからなのですね。
 今では、姉妹番組の「日曜ロードショー」がBS枠にあり、2日後には「ボヘミアン・ラプソディ/ライブエイド完全版」が放映されました。
 こちらには前振り(ダイジェスト)が付いていて、それが延々3分も続くのです。妻と二人で見ていてお互い「まだ始まらないの?」とイライラしてしまいました。私見ですが、予告編は1分30秒を超えると長く、以降は10秒単位で「相当」の度合いが増します。2分超ともなれば、本編に換算すれば3時間相当みたいなもんですよ!

 予告編は宣伝効果として一番有効だとは思いますが、個人的にはなるべく白紙に近い状態で映画に接したいので、私は見ません(寝てます)。でも、一般的には楽しみにしている方が多いと思うのです。ただ、いつのころからか「動機付け」を越えて、「見せ過ぎ」に走っているような気がします。そうしないと「売れない」と思っているとしたら、それはちょっと観客をバカにしているんじゃないかとさえ思ってしまいます。モノによっては、もうそれだけで十分見た気になり、本編は見なくてもいいやというモノも時にはあり、それでは逆効果、マイナスにしかなりません。

 一方、DVDでレンタルした映画を見るときは、特典映像の予告編特集は楽しみにしています。それは見る順序が「逆転」しているのに加え、いろんなバージョンがあるからです。テレビスポット用、特報、本予告、あるいは「感動篇」「アクション篇」「音楽篇」「コメント篇」などと売り方を絞ったバージョンなどがあり、直にお客様に接する場に身を置く者としては興味深くもあります。

 今回そんなことを思ったのも、本編を見てから→予告編を初めて見るということがあったからです。
 それが9月に公開予定の「浜の朝日の嘘つきどもと」です。南相馬が舞台のご当地映画ということで、配給会社が地元の意見を聞きたいということから、早々と5月のうちに試写を見させていただきました。で、本編鑑賞後に先日初めて予告編を見たのです。
 閉館間際のローカル映画館が舞台という、もともと売りにくい作品を上手く1分25秒にまとめていました。作品自体は福島中央テレビでドラマ化された物語の前日譚で、それを見ていない私でも十分楽しめましたが、この予告編の効果やいかに!?

 前任地では、暮れにその年に公開した全作品の予告編を一本にまとめ、「プレイバック〇〇年」という予告編大会を開催したことがあります。通常番組の上映前に朝9時から(2時間5分ぐらいだったかな?)1週間無料上映。途中入場可にしたけどそういった方はいなくて、連日数名が来場し、「完走」してくださいました。
 この時、隔月発行していた番組表の中でクイズを出したんですよ。在庫がなくて流せなかった予告編が何本かあったのですが、その作品は何?というのを問題にしました。
 まず、①予告編大会を見なくてはならない。➁当館で上映した映画を全て把握していなくてはならない。➂寝ている私には参加資格がない(笑)。この難関をクリアできる方などいるわけないと思いきや、正解者が2名いたんです! いやぁ嬉しい驚きでしたね。賞品として用意した招待券以上のものをプレゼントしたいぐらいでしたよ。加えて、自分が見たバージョンと違うという投稿もチラホラあり、大変な労力だったけれど、それ以上のものを返して頂いた思いでした。

いつもの長いあとがき

 予告編上映は映画館では当たり前のことですが、「ポスターの予告編」というべきものもありました。
 一つが、「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(1999年/翌年公開)です。前評判が良く、ポスターは白地の上三分の一に「予告」という大きなゴシック文字、下に主演のピアース・ブロスナンが後ろ手に縛られているという図案。スタッフやキャストのクレジットはありません。結構早めの納品だったし、そういったデザインだったから当然あとで「本ポスター」が届くと思っていたら、なんとコレのみ! つまり本ポスターだったということでしたが、最後まで納品漏れの疑念が消えないまま公開を終えました。
 映画はヒットしましたが、それは単に出来の良さだけではなく、この斬新な宣伝戦略が奏功したのは見逃せません(電通が宣伝担当だったかな?)。

 もう一作、「クリフハンガー」(1993年)も別の意味で「予告的な」ポスターがありました。
 本来は夏休みの公開で予告やポスターなどの宣伝も早くから始まっていたのですが、一転、お正月映画に繰り下げられたのです。それは、大本命「ジュラシック・パーク」との直接対決を避けるためでした。「逃げ」とも取れますが、ターゲットが重なる作品に正面切って戦いを挑むよりも、賢明な選択だったと思います。
 その、正月映画に「変更」になったことを知らせるB全ポスターのメインビジュアルが、オープニングでの宙づりの場面でした。そこに『スタローン、その手を離すな!』という文字が躍るというデザインです。予告編は「ジュラシック・パーク」の上映劇場では全て流しているわけで、それ宣伝効果たるや絶大ですよね。そこへピンポイントに絞ったアピール。巧い宣伝だなぁと思いました。そして、お正月の洋画ナンバーワンヒットとなったのは周知の通り。

 上記の「クリフハンガー」でもそうですが、公開時期のタイミングというのはありますよね。「ボヘミアン・ラプソディ」だって、もし今(注/コロナ禍の2年前)だったら<応援上映>で一緒に盛り上がるなんてこと、無理ですもの。           (沼田)