壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.30

◆基本的に最新号を5階ロビーに掲示して、その時にフィットした過去作を電子版で掲載するというのが、壁新聞のスタイル。
 今回はその原則に反して、出来立ての最新号をご紹介します。
 まちポレの常連さんでも、この壁新聞や『徹子の部屋』、そしてテラスの存在に気付いていない方が多いかもしれませんね。いっそのこと知名度アップを兼ねて、まちポレ・スタンプラリーでもしてみますか、てか。

◆『まちポレ壁新聞』最新118号『はじけて映画』は、5階ロビーに掲示中です。
 ※101号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞 №118  2023年9月5日 

はじけて映画

駅前純情シネマ その12

 私はギャンブルをやらないので、競馬場はもちろん、自宅から徒歩圏内にある競輪場にさえ行ったことがありません。
 今年の春、福島の温泉につかった翌日、福島競馬場の見学を企ててはいたのですが、あいにく休業日とぶつかり願いは叶いませんでした。だから競馬場の造りやスケール感がどんな風か想像するしかないのですが、恐らく陸上競技のフィールドよりも何倍も大きいはずですよね。もしもそこで野外上映会が開催されたら…。

何と何と、それが具現化してたんですね。
 ところは、川崎競馬場。8月の毎土曜日、4週に渡って「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」「ミニオンズフィーバー」「バンバン!」「トップガン/マーヴェリック」が上映されたのです。
 何より素晴らしいのは、『Green Carpet Theater』と題されたそのネーミングです。ふかふかの芝生と「アラジン」の空飛ぶカーペットを同時に想起させ、楽しいイメージしか浮かんできません。このネーミングを聞いただけで行きたくなりませんか? その魔法を映し出すスクリーンは、ギネス認定された世界最大級の触れこみです。しかもその巨大映像が2面。そして<座席>はふかふか緑の絨毯シート。もちろん鑑賞スタイルは自由。飲食はもちろん(キッチンカーも出たようです)、踊りもOK。その異空間の開放感から、リピーターが多く詰めかけたようです。

 ネット記事を読むと、以前にも別のタイトルにより野外上映会は行われていたようですが、今回の4作品の選定は概ね王道路線と言えます。しかし、どう見ても3週目の「バンバン!」だけは、場違いで異質に思えてなりません。元ネタはトム・クルーズとキャメロン・ディアス主演「ナイト&デイ」で、そのインド版リメイク作品になります。私は未見ですが、インド映画の聖地で何度もマサラ上映されている人気作品です。がしかし、世間的認知度から言ったら知らなくて当然の作品です。どうしてこれがリストアップされたのか⁉ 選定スタッフにインド映画の沼の民一味がいたとしか思えません(笑)。
 ネット上には、沼の民たちのざわつきが溢れていました。近かったら、私も行きたかったな。そうそう、入場無料だったそうですよ(驚)。

 実際に弊社でも、数年前にいわきFCパークのフィールドで、「ジュラシック・ワールド」と「ミニオンズ」のシリーズやりました。規模は違うけれど、楽しかったな。普段閉鎖的な空間に閉じ込められている我々スタッフも、開放感を満喫しました(笑)。

いつもの長いあとがき

 ところ変わって、水戸でも今月の23日に藝術館広場で「トップガン/マーヴェリック」の野外上映会が開催されます。満を持しての横綱登場という風格がありますね。今回が十数回目らしいのですが、もともとどうしてこの地で開催されるようになったのかを想像するに、「アートタワーにスクリーンを張りたい! タワーをバックに映したい!」というのが発端ではないかと思います。自分がスタッフだったらそう考えますもん。あとは当日、お天気になるのを祈るのみですね。

 この野外上映は水戸映画祭の関連企画なのですが、2週間後に行われる本祭には「RRR」がリストアップされています。しかも、〈応援上映〉とのこと(市の会場ゆえ、マサラはNGだったようです)。2年前だかの「ジャッリカットゥ牛の怒り」を見た観客からは、めくるめくサウンドに驚嘆の声があがっています。もともと会場となるACMシアターは、円形の芝居小屋ですからね。私も音だけ聞きに行きたいと思ってしまいます。惜しむらくは座席の硬さですかね。みなさん、座面と背板用のクッションを怠りなく馳せ参じましょ。

 ところで、「トップガン/マーヴェリック」「RRR」2巨頭の凄いところは、いまだに上映が続いていることです。作品の面白さならディスクや配信でも感じ取れるけれど、映画館で見る映画の素晴らしさを再認識させてくれた功績、これは偉大です。

 ひとつ気になったのは、例年並行して行ってきた国立映画アーカイブとの連携企画、日本映画のクラシック作品の上映がないこと。予算の都合や動員面なのか理由は分かりませんが、スクリーンで日本映画の黄金時代の名作に触れられる希少な機会だっただけに、ちょっと惜しいなぁ。

 まちポレでも、恒例となりつつある『インド印映画まつり』を来月開催しますが、こんな機会でもないと触れられないであろう地味な作品を取りあげるようにしています。例えば、これまでの「あなたの名前を呼べたなら」、「めぐり逢わせのお弁当」がそうです。今回それにあたるのが「きっと、うまくいく」と「マダム・イン・ニューヨーク」です。ド派手なA面「パターン」から一転、しっとりとした隠れた名作のB面をお楽しみください。
 実はこの二作品は、先んじてオンエアされるWOWOWのインド映画特集にリストアップされています。多分に影響はあるとは思うけれど、観客と一緒に映画を見て語り合う、それは映画館でしか味わえないもの。そして、期間中にはインド映画の語り部、山田タポシさんも来場してたっぷりとトークを展開してくださいます。60分枠空ければいいかな(笑)。          (沼田)