壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.43

◆12月1日は映画の日。ファーストデーでもなければ映画ファン感謝デーでもない、正真正銘『映画の日』。神戸で、初めて映画が上映された日と言われています(実際には11月下旬だったそうです)。
 それにちなんで今回は、そのものズバリの見出しを付けた100号をご紹介。但し、記念でも何でもない通常号です☺

◆『まちポレ壁新聞』最新125号『映画を“見る”』は、5階ロビーに掲示中です。
 ※101号以降のバックナンバーのファイルもあります。

まちポレ壁新聞 №100 2023年2月5日

毎日映画の日

Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.65)

 記憶で書くので間違っていたらゴメンナサイですが、日本で映画の初日が金曜日となったのは1990年の4月6日、「オールウェイズ」が最初でした。まだ学校を始め企業も週休二日制が定着する前で、果たして根付くのか?と思ったことを覚えています。実際に他の配給会社も右へ倣えはせず、すぐには定着しなかったんじゃなかったかなぁ? ちょっとうろ覚えですが。
 
私自身はシフト制ゆえ休みは固定ではありませんが、土曜日は駅前で各作品のスタートを見、前週の週計を出して、日曜日は小名浜へ出向くというパターンが多いです。
すると土曜日にまちポレでお会いしたお客様と、翌日今度は小名浜で顔を合わせるということが珍しくありません。先日は開店してすぐいらしたお客様に「今日はどちらを?」とお声掛けしたら、いきなり親指、人差し指、中指と3本折りながらタイトルを言ってくれたので、びっくりして肝心の作品名が吹っ飛んでしまいました(笑)(前日もハシゴしているので、二日で少なくとも5本)。その方が立ち去るとすぐまた女性の常連さんをお見掛けして…という具合で、ありがとうございますの連呼となってしまいました。

 まちポレがオープンして間もなく始めた茨城県民割引は、茨城県北地区からたくさんお越しいただきたくて始めたサービスですが、先月末は水戸の友人が訪れてくれました。
 電車代の方が映画代以上に掛かるけれどほぼ隔月で来てくれて、だいたい2本ハシゴして行きます。その日は「そばかす」がお目当てで、次がダブるので二択となり「夜明けまでバス停で」を選択。「ケイコ目を澄ませて」はやむなく諦めたそうです。

この日来るのは分かっていたので久しぶりに顔を合わせたいところでありましたが、生憎私は茨城で用事があり、行き違いという皮肉なめぐり合わせになってしまいました。
 その日の私は自分の用事が思いのほか早く終わって時間が出来、そうだ「RRR」を再見しようという気になりました。移動時間を考えると開始まで20分しか余裕がなく、お昼を食べる時間がありません。それでスーパーでおにぎりを買い駐車場で食べながら時間を確認すると、番組が変わっていました(笑)。必然、時間も変わってます。これじゃまるで素人、お客さんと同じだと自嘲しながらも、代わりにその時間に入っていた「光の指す方へ」を見るチャンスが出来たことに感謝し、映画館へと車を走らせました。

いつもの長いあとがき

 「光の指す方へ」は、青梅に50年ぶりに出来た映画館シネマネコを舞台にしていて、しかも<移動映画が主役>です。前出の友人も私も巡業の経験があり、「いわきでやる?」と聞かれたけれど、興行として考えた場合は成立しそうもないので、断念したという経緯がありました。これを見たがっていた友人が見られなくて、偶然(間違いが元で)私の方が見ることになるとは皮肉なものです。
 作品的には、確かに<好篇>と言えます。ただ、「映画の嘘」は許せるのですが、「物語に嘘」があると作品には入っていけません。そんな感じはしました。
 作品中に「(映写で)失敗したらどうするんですか?」という台詞があり、それに対して「謝る。そして、次からちゃんとやる」というやり取りがあります。これが作品(主人公)のキーワードにもなっているのですが、一発勝負の移動映写では、やはり失敗することもあります。
 絶対にしてはいけないのは、作品を<見る>ことです。見入ってしまうと仕事を忘れ、<鑑賞>になってしまいます。だから、映画を見て(Look)はいけないのです。<眺める>程度にとどめる、これが大事です。でも、気が緩むとついつい見てしまいます。これをやってしまったのが、「里見八犬伝」(1983年製作)の時でした。初見ではなかったのですが、悦ちゃんたちの立ち回りに感心していたら、いつの間にかチェンジマークは過ぎ、エンドリーダー部が映り、音はザザザザザーッ。冷や汗が出ました。

 この前週は東京で映画会社の宣伝会議があり、そのついでに「エンドロールのつづき」を見てきました。奇しくも<映画館と映写技師が主役>の作品の連打です。もちろん、自分のところでやるのに先んじてのチェックのためですが、気になるのは出来だけではなく、客入りとその客層です。封切初週の水曜サービスデーと重なったこともあり、1回前の回は満席で、私が見た夕方の回(通常は落ち込みます)もまぁまぁの入り具合でホッとし、また羨ましくもあり…。
 前半やや冗長にも感じましたが、本当に作り手たちの映画愛が滲み出ていて、観客に愛される映画だなぁというのが率直な感想でした。こんな作品を選ぶわけだから当然観客マナーもいいし、帰りに名残惜しそうに館内掲示物に見入る観客の姿を目の当たりにし、若かった頃の自分を映し鏡で見るようでした。
 こんな地味な作品が支持(集客という意味で)されるのも、「RRR」効果によるものです。「インド映画」と知ったからこそ、逆に見たいと思ったに違いありません。きっかけは何でもいいのです。とにかく、見てもらわなければ何も始まらないし、あとが続きませんから。
 
 実は、マサラ上映の翌日にもイベントを企てていました。それはインド映画の今日(こんにち)の隆盛を築き上げた方の招へいでした。結果それは叶わなかったのですが、同じようにそれを試みた人が他に数人いたと本人からお聞きして、残念ではありましたが、逆にそれは嬉しいことでした。     (沼田)