壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.71

◆SNSに、「昔は年末になると『大脱走』など往年の名画(しかも長尺ゆえに前後編に分けたりして)が必ずや放送された」といた旨の投稿がありました。確かに。「戦場にかける橋」「十戒」「ジャイアンツ」などなど。何も暮れのせわしい時に放送しないで、もっと落ち着いて見られる時期にしてほしいと思う反面、この時期だからこそ見られる人にとってはありがたいはずという、相反する思い同居していました。

映画はなるべく白紙に近い状態で見るようにはしていますが、テレビの映画放映は見られてなんぼの世界なので、解説者の存在も、それが「きっかけ」になるのであれば有効だと思っています。

そんな解説者や映画評論家について触れた、約3年半前の51号をご紹介します。

 

◆『まちポレ壁新聞』最新142号『運命の日』(12/17発行)は、5階ロビーに掲示中です。

※121号以降のバックナンバーのファイルもあります。

 

まちポレ壁新聞  №51   2021年8月15日

映画への水先案内人

Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.16)

 

毎回、イントロのフレーズが浮かんでくると書き出すというのがスタイルで、前回はどうしても林美雄さんについて触れたいがためにトートツ感満載で登場させ、強引に締めくくってしまいました。

そのために漏れたのが、「神様のくれた赤ん坊」の件。

これで何度目の登場になるのか(笑)。

偶然にも中古セールでDVDを発見したのです。もちろん220円!

手に取って、しばし迷いました。欲しいのはもちろんだけど、あの年のベストワンの映画が220円。嬉しいような、悲しいような。手の届かないところにあって、高嶺の花だからこそ美しいものなのに、それがコンビニのコーヒー並みとは。悩みつつも、結果的には買いましたけどね(笑)。

 

1979年の作品だから、41年振りの再見になるのかな?

忘れていたことがたくさんあって、しかも物語の『キーワード』まで見事に記憶から抜け落ちていて、それなのに高橋真梨子さんの主題歌を探していると騒ぎ立てていたんだから、始末が悪い。最悪(笑)。

 

このDVDジャケットの解説は、増當竜也さんという方が書いているのですが、わずか400字あまりの中に、粗筋、桃井かおりさんと渡瀬恒彦さんの主役お二人、前田陽一監督、そして見どころまで紹介しつつ、且つ寸評にもなっていて見事です。「批評は褒めるが勝ち」の典型と言えます。

 

ここで、以前からの素朴な疑問が頭をもたげてきました。

VHSやDVDは、本でいうと文庫本に当たると思っているのですが、どうして「解説」がないのでしょうか?

文庫本で、解説者による売り上げの格差があるというデータが存在しているのかは不明ですが、ビデオでも、もう少し活字で内容について触れてほしい。それによっては、購買意欲も変わってくると思うのですがね。

もし、通常版と解説付きのデラックス版があったら、私はためらうことなく後者を選びますね。多少割高であったとしても。

 

いつもの長いあとがき

 

今回続編になったのは、一回に収まりきらなかったという極めて単純な理由からですが、映画の続編製作は、大ヒットしたという興行的理由が第一ですね。ただ稀に、そんなにヒットしたっけ?という場合もありますね。

私の好きな「恋人までの距離<ディスタンス>」(1995年)はそれに当てはまるかな?  こういう場合は、作品的評価に加えて、製作スタッフやキャストの「続けたい」という気持ちが一致したからでしょうか?

 

さて、前頁で解説について書きましたが、私が子どもの頃、テレビの洋画放送枠には、必ず「解説者」が存在していました。

月曜はTBS系=荻昌弘さん、水曜は日本テレビ系=水野晴郎さん、木曜はテレビ東京系=南俊子さん、金曜はフジテレビ系=高島忠夫さん、そして日曜のテレビ朝日系がお馴染み淀川長治さんといった具合で。解説がなかったのは、火曜のテレビ東京系と土曜のテレビ朝日系だけで、それ以外は映画評論家(高島さんは除く)の前説と後付けが付くという豪華なものでした。

私の場合は見ると決めてチャンネルを合わせていたので、前説によって見るのをやめるということはなかったけれど、局の力の入れ具合は、今とは月とスッポンでしたね。大体、毎日(ほぼ)洋画が放送されていたのですから、隔世の感があります。

 

頂きものの三千円分の図書カードの使い道を考えていたときに、本屋で目にしたのが、映画の伝道師だった淀川さんの「淀川長治映画ベスト1000 <決定版 新装版〉」(河出書房新書)でした。値段は3135円。「日曜洋画劇場」における放映前と後の解説をまとめたもので、ちょっと気持ちはグラついたけど、ガイドブックとしては双葉十三郎さんの「ぼくの採点表」があるので、断念。結局、図書カードは和楽器バンドのCDにとって代わりました。

 

今、映画におけるオピニオンリーダーって誰なんでしょう? もしかして、「王様のブランチ」のLiLiCoさん?  確かに興行的な面においては影響力あるかもですね。ただ、不在というのが正解に近いのかもという気もします。プロの意見よりも、ネットの投稿の方を参考にするというのか。

 

私の場合は、家が読売新聞を購読していたということから、映画欄を担当していた河原畑寧さんが最初に触れた映画評論家でした。まだ映画雑誌を購入する前です。記事をスクラップしてはノートに貼り、氏の評論を参考に作品を選んでいました。結果的に好みが一致しない時もあったけれど、そういう時は、まだ自分が映画を見る目が追い付いていないんだなぁと思ったものでした。

 

そうそう、知人でその道のプロに進んだ方がいます。

以前、まちポレのロビーを映画スターの肖像画で飾ってくれた大下武夫さんの姪御さんに当たる、中山治美さんがそうです。

いつぞやは、「この世界の片隅に」専門劇場(笑)として、ファンの間ではつとに有名な土浦セントラルシネマズについて、三浦春馬さん絡みの記事を寄せていました。暖かみのある文章だなと思いながら読み進み、末尾の署名を見て納得でした。私、彼女が16歳のころから存じ上げているもので(笑)。(沼田)