壁新聞

【『まちポレ壁新聞 -電子版-』更新しました。】Vol.3

◆昨年秋に始めた『インド印映画まつり』は、初めから欲張らず、小出しに2本のみの特集にとどめました。そして、『いわきポレポレ映画祭』で「きっと、うまくいく」の上映会場として間接的にインド映画と関わり、今月末からは『インド印映画まつり2023春』で、3作品連続上映いたします。
そんなわけで今回は、プロモ的に迫ります。一見水と油に見える向田邦子さんとインドですが、阿修羅はインドの魔神?だし、向田さんはよくインド旅行に行ってたし、飼い猫にもインドの関わりのある名前つけてましたよね。←強引なこじ付け(笑)

まちポレ壁新聞№95 2022年12月26日

Time My-Scene ~時には昔の話を~ (vol.60)

へのへのもへじ

つい先日のこと。「茶の間」でタブレットをいじって、ネットニュースを見たりLINEをしていたら、妻がBSにチャンネルを合わせドラマを見始めました。かなり古いドラマだったので、何だろうと思いながら眺めていたのですが1分と経たずに「向田さん?」と声かけたら、「阿修羅のごとく」だと答えてくれました。八千草薫さんやいしだあゆみさんが映っていたせいもあるけれど、何よりもその空気感が向田邦子さんの世界そのものでした。演出が和田勉さんだったこともあるかもしれません。

ついで見かと思われた妻でしたが、私がお風呂から出ても見続け、結局最後 まで3話続けて見てました。
妻が見たのは、NHKで1979年正月に放送され、上から順に加藤治子さん、八千草薫さん、いしだあゆみさん、風吹ジュンさんが4姉妹に扮したもの。この作品は、不安を駆り立てるようなトルコ軍楽が評判になりました。私も今だにサビのフレーズが耳に残っていて、リフレインして困ってます(笑)。

思い起こせば息子が生まれる直前、臨月の妻と見た映画が「阿修羅のごとく」でした。2003年の森田芳光監督による東宝作品で、こちらの4姉妹は、大竹しのぶさん、黒木瞳さん、深津絵里ちゃん、深田恭子さんという顔ぶれ。残念ながら、テレビより女優が小粒になった感は否めません。それにしても息子は、この時すでに胎教で人生の機微に触れていたのか(笑)。

妻とは年が離れているにもかかわらず、この辺の趣味はよく合います。他にも宮部みゆきさんはともに好きで、同じ本が並んでいたりもします。ま、本来ここは、同じ本があることに気付かない、お互いの無関心さを突っ込むべきところかもしれませんが(笑)。
ただ、ともにサービス業ということから休みがダブらないことが多く、一緒に映画を見に行ったというのは極めて少ないのです。他には竹内まりやさんのライブ映画「souvenir the movie」や中島みゆきさんの「夜会」シリーズぐらいしか浮かんできません。

そういえば以前、向田さんのエッセイで輪ゴムをテーマにした作品があったように思い、調べたけど探し当てられなかったということを書きましたが、見出しにつけた「へのへのもへじ」の落書きもとんと見なくなりましたね。寒い冬、結露した曇りガラスにいたずら書きし記憶は誰にでもあると思います。この見出しの意味は、ドラマをご覧になった方ならすぐに分かりますよね。第三者はクスッと吹き出してしまうけれど、当事者からしたらコワい話です(でも、向田さんらしい茶目っ気)。

いつもの長いあとがき

映画評論家の川本三郎さんは、好きなことだけを書いてきたフランス文学者の澁澤龍彦さんなどをお手本にして、自分もそうしてきたから物書きとして50年もやってこられたと書いていました。対象物を批判したり否定しがちに思われる物書きのプロがそうなのですから、〈現場〉の私は尚更それに徹しようと心がけています。

このところの壁新聞は、インド映画ネタが必ずと言っていいぐらい出てきます。半年前にはなかったことです(笑)。
世間の風潮としては、インド映画のことを一段下に見て、単に歌って踊るだけというのがあると思います。しかし、インド映画ファンはそんな世間のことなどどこ吹く風、ゴーイングマイウェイで誉めまくります。これは読んでいて非常に気持ちがいいものです。強いて不満らしいもの目にしたのと言えば「RRR」に途中休憩がないから、膀胱が破裂しそうだったということぐらいです(笑)。

秋にシリーズ化を想定して始めた「インド印映画まつり」。受け入れられたと言えるような数字ではなかったのですが、懲りずに「2023春」も行うことを、今決めました。←関根忠郎さんの惹句調。

今回は3本上映致します。
トップバッターは、「エンドロールのつづき」。この初日が2月24日に決まったのを受けて、小名浜も含めいつどこでやるかタイミングを計っていた「RRR」を3月10日から。そして、前回「あなたの名前を呼べたなら」が好評だったので、二匹目のどじょう狙いで「めぐり逢わせのお弁当」を1週間限定で3月24日からという並びにしました。
もともと、「めぐり逢わせのお弁当」は、「あなたの名前を呼べたなら」にいらした女性からお声がかかったものでした。8年前の公開作品ゆえ権利の所在が心配だったのですが、まだロングライドが持っていてくれました。
唯一の心配事と言えば、「エンドロールのつづき」にしても「RRR」にしてもえらくヒョーバンが良すぎて、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞に絡んでしまわないかということぐらいです(笑)。もし獲っちゃったらどうしよう(笑)。
もちろん、インドにマサラはつきもの、イコールです。今のところ候補日は上映二日目なのですが、そうなると震災から丸12年。純粋に映画を楽しめる日が訪れそうなことに感謝しつつ、その日を迎えようと思っています。

最後にどうしても書き留めておきたいことが。「あちらにいる鬼」のラストに流れる優しい歌声は……浜田真理子さんです!        (沼田)